CINEMA STUDIO28

2016-07-03

オールナイト





昨夜、観に行ったのは、濱口竜介監督オールナイト。新文芸坐で。
http://www.shin-bungeiza.com/allnight.html


あまりにオールナイトが久しぶりで少し身構えていたのだけど、ほぼ満席で、普段の新文芸坐より格段に若い観客が多く過ごしやすい。80代と思われる老婦人がお一人でいらしていたのが印象的。古い映画何本立てかではなく、気鋭の若手監督の映画を!しかもオールナイトで!なんてかっこいいのだろう。


「PASSION」は115分と普通の長さ、しかし「親密さ」は255分。それでも「ハッピーアワー」よりは短いね、と思ってしまう濱口映画鑑賞。さすがに「親密さ」は途中休憩を挟んでいた。演劇の上演に向けた準備期間の前半、そして後半は1つの演劇、カットなしで2時間ほどの演劇が全て映っている。演劇を飲み込んだ映画なので、これほど長い。


朝型人間の奮闘としては、「親密さ」の後半かなりうつらうつらしてしまい、半分も起きてなかったかな。「PASSION」は100%、「親密さ」は70%ほどの鑑賞となった。これまでのオールナイト参戦記録上、最も健闘したのは、やはり映画が予測不能な面白さで、何を観ているのだ自分は、と新奇な興奮があったから。前々日ぐらいから睡眠時間を確保できていれば、100%達成できたはず。「親密さ」、完全な鑑賞はできなかったけど、上映の機会をまた捕まえられたら、4時間以上をこの映画に献上しようと思える映画だった。できれば13時頃から始まって18時前に終わるようなタイムスケジュールでお願いしたい…。


「ハッピーアワー」のクライマックスが夜から朝にかけての時間にあるように、「PASSION」も「親密さ」もどちらもその時間が映っていた。そして「PASSION」はバスの、「親密さ」は電車と徒歩の映画だった。


だから映画館を出て6時前、池袋の路上に出て、来た時は黒かった空が白み、始発のガラガラのバスに乗り起動し始める東京を眺めていると、眠気も手伝って虚構の現実の境界が滲む。こんな贅沢ってあるかしら。さっきまで観ていた映画の中にいるみたい。