CINEMA STUDIO28

2014-01-16

Before sunrise

 
 
シリーズ第3作目「Before midnight」今週末から公開されるので、前2作の復習。(ふくしゅうってタイプしたら最初に変換されたのが「復讐」で、我ながらどうかと思ったところ) この2人の物語に続きがあるとは思ってもいなかった。借りに行く時間がない・・と思ってたら、iTunesでレンタルできた。21世紀だった。
 
 
 
 
1作目「Before sunrise (恋人までの距離)」、今の自分には甘すぎるかと思ったけど、やっぱり良かった。1作目の製作段階から続編を想定していたのか、2人のキャラクター造形がしっかりしていたということなのか、2作目のパリでの2人と脳内比較しながら観ると、時間は人を成長させるのか、やっぱり人は変わらないということなのか、よくわからない気分になりつつ最後には、人は決して他人にはならないし、自分なりに頭や心を使って考えた方角に向かって行動していくのだな、と思った。自立した女性になりたい、男にかしずく女にはなりたくないと願った、ウィーンでは学生だったセリーヌは、数年後の再会のパリではしっかりそのような女になっていたのだから。
 
 
何年か前にNHKで放送されその後に劇場版が公開された、阪神大震災当時こどもだった男女が大人になって神戸で出会って夜の神戸を歩く「その街のこども」を観たとき、震災のその後の話ということ以上に、見知らぬ男女が偶然出会って、ひたすら話しながら夜の街を歩く筋書きに「Before sunrise 」を思い出し、「その街のこども」をとても気に入った私は、このような筋書きの物語が好きなのだな、と思った。1人で過ごすために訪れたはずの普段自分が暮らさない街で、偶然出会う誰かは日常に退屈した身体に運命という言葉を思い出させるのにじゅうぶん。新奇な風景や知らない言葉は生まれたばかりの子供がひとつひとつ世界を捉えはじめるような新鮮さに満ちており、今日出会ったのに明日にはもう別れなければいけない残酷な現実を時々思い出すたびに、最短距離で素直にならなければ。と、たわいのない会話の隙間に自分に言い聞かせるのだ。私もこれまでの人生で何度かそんな夜をいくつかの街で過ごしてきた。続編があろうとなかろうと、振り返ると人生最良の夜のひとつであったことには変わりはない。
 
 
「Before sunrise 」、レコード店の試聴室のシーンがやっぱり良いなぁ。友達に教えてもらった曲を狭い小部屋で試聴したら、偶然にも歌詞がふたりの気持ちを代弁しているような奇跡。駅でのラストシーンは、人はやっぱり約束を欲しがる生き物なのかな、と思った。「Before sunset」をこの後、眠くなるまで観るよ。