さきほどものすごく久しぶりにジムに行き、ロッカーに入れっぱなしだったランニングシューズ取り出し、これ入れて最後にロッカーに鍵をかけたのは・・7月後半だった。と、思い出すと、果てしなく遠くに思えた。今年の夏はあまりに変化があって、下の日記書いていた自分なんてとっくに他人だな。
名画座の○本立て、どの映画館でやるか×何の映画を組み合わせるか、妄想するのが好きなんだけど、「新橋文化劇場」×「キャリー」×「グラインドハウスUSAver.」の組み合わせ、ここ数年のベスト番組賞。奇跡は新橋で起こってた!!!
グラインドハウスとは、60〜70年代のアメリカにたくさんあった低予算B級映画を2本立て3本立てでかけるなんともいえずダウナーな映画館のこと。「グラインドハウスUSAver.」はそんなグラインドハウスに愛情を込めて製作されたゾンビ映画とカーアクション映画の2本立てで1本の映画の体裁になっているもの。映画の合間には存在しないB級映画のアホらしすぎる予告編が差し込まれたり、実際グラインドハウスでは頻繁にあったらしい映画のフィルムが1巻抜けてるけどそのまま上映しちゃうけど許してねってアナウンスが差し込まれたりの凝りまくった映画。
日本公開は2007年?で、東京では六本木ヒルズで3000円だか(プレミアムスクリーンか?)で期間限定公開されたらしい?というグラインドハウス映画をつるつるのシネコンで高額で見せるセンス皆無な上映のされ方で、それでも観に行った観客は、映画のラスト、あまりにアホ爽快感あふれるあのラストに感激してスタンディングオベーションしたという伝説つき。私は忙しすぎて上映を逃し、映画が流れ流れて浅草に漂着したときにようやく捕まえることができた。浅草六区の再開発で消滅した3つの映画館のひとつ、浅草中映は場末すぎて映画館にいて初めてちょっと身の危険を感じたけど、グラインドハウス感ばっちり味わえ、あまりに映画が面白く、帰り道ホクホクで駅まで向かう途中、浅草寺あたりの散り際の桜が綺麗だったの覚えてる。
浅草中映も銀座シネパトスも無き今、東京に残る数少ないグラインドハウスぽさを味わえる映画館、新橋中央劇場はJR高架下にあり、映画館の真上を電車が走ってるから、定期的に映画館全体が揺れ、映画の筋などおかまいなしにガタゴト騒音が混じる。客席は年期の入った革(合皮?)張りで、ドリンクホルダーなんて便利なものは存在せず、さらにトイレがスクリーンの両脇にある!途中入場OK、薄暗い喫煙室、並びにはポルノ映画館もあったり。
そんな新橋中央劇場でグラインドハウスUSAver、後半のタランティーノの「デス・プルーフ」は、この世に存在する映画の中でもっとも面白い映画のひとつ。気持ち悪いおっさんにめちゃタフな女子チームが復讐するカーアクション。いったんボコボコにされた後、ムカついた最強女子が道ばたで手ごろな鉄の棒拾ってキャーキャー叫びながら復讐ターン始まる瞬間ほど血沸き肉踊る瞬間を他に知らない。今週ひどくモヤモヤしてたけど、この世で最もスカッとするラストを持つ映画を、最高の環境で見せてくれるなんて映画の神様に長らく時間とお金を献上し続けた甲斐があったってもん。
ミニスカート履いた女子が足を振り上げ踵落としが見事に決まった瞬間、夏の憂鬱は吹っ飛び、気持ちよく夏にさようなら。
併映の「キャリー」、シシー・スペイシクが怒りの感情を超能力に変換できるいっけん冴えない高校生を演じるホラー。夢のようなプロムパーティーで豚の血まみれになったキャリーを見ながら、日本でリメイクするなら90年代後半の中谷美紀さんでばっちりだな、と妄想。ごてごてした70年代の高校生ファッションの中、パーティーに出るためにキャリーが自分で縫ったドレスが同級生の誰よりもシンプルシックなのが素敵だったな。最初はからかい半分だった相手の男子も、文学少年少女同士通じるところがきっとあって、あの甘いキスや抱擁に嘘はなかったはず・・短い映画の時間の中で、どん底から天国、そしてまたどん底へ、思春期の少女のあまりに激しいアップダウンを目撃してしまう切ないホラーだった。
これで800円?お金の意味がよくわからないな。金曜日まで、新橋で。