CINEMA STUDIO28

2017-01-15

日記を移行します



長らくこちらで日記を書いてきましたが、Cinema Studio 28 Tokyoのdiary機能の追加ができましたので、今後の更新は、以下に移行します。引き続き、毎日書くつもりです。


http://cinemastudio28.tokyo/diary/


こちらのblogは公開し続けますが、今後の更新はありません。ブックマーク等をしてくださっている場合、今後はCinema Studio 28 Tokyoをブックマークいただければ嬉しいです。iPhone、iPad等の場合、「ホーム画面に追加」すると、写真のような、あずささんデザインのアイコンが表示されますので、是非!


来週はそろそろ2016Bestを書くつもり。そしてCinema Studio 28 Tokyoも次回更新に向けて動いておりますので、どうぞお楽しみに。

2017-01-14

初日


待望の!浪花千栄子特集、本日初日。


http://www.cinemavera.com/index.html


浪花千栄子、画面に登場するだけで映画全体の面白みがネクストステージに到達する。俳優に対して、これ以上の褒め言葉があるだろうか。


「こつまなんきん」「今年の恋」の2本立てを鑑賞。「今年の恋」、ずいぶん久しぶりに木下恵介監督の映画を観て、10代の頃にたくさん観た木下作品、あまり好みではなかったけれど、「今年の恋」が魅力的だったのは、私好みの軽妙なラブコメだったからか、もしくは時間が経過して、ようやく木下映画の魅力を理解できるようになったからか。


その後、お茶しながら映画談義した人から、気になりつつ永らく未見の「悪名」必見!と教えてもらい、観ていないなんて愚の骨頂!という気分に陥ったので、この特集でようやく捕まえることにする。フィルム上映だし!

2017-01-13

ウォーミングアップ


今日の星占い、「山羊座は材料がちゃんと集まって組み立てをスタートできる、という雰囲気になりそう」と書いてあって、ほほう、と読んでいたら、海を越えて原稿が集まってきて、まさに当たりだった。俄かに原稿長者。


体調を整えるべく夜の外出を控えていたので、ハワード・ホークス特集では「教授と美女」しか観られなかったけど、明日から待望の浪花千栄子特集が始まる!今回は上映されないけれど、「夜の素顔」のレビュー(こちら)を読み返してウォーミングアップをしているところ。

2017-01-12

教授と美女


頭が冴えてきて、ようやく新年が始まるみたい。年末、映画納めに観た「教授と美女」から映画の記録をリスタート。


シネマヴェーラ渋谷にて、ハワード・ホークス監督特集より1941年「教授と美女(原題”Ball of fire)」。脚本はビリー・ワイルダー&チャールズ・ブラケット、傑作輩出コンビでルビッチ「青髭八人目の妻」も「ニノチカ」も2人の脚本によるもの。

一軒家に長らく篭り、百科事典の編纂をする、専門分野の異なる8人の男。男はふんだんにいるけれど、女っ気はなく、身の回りの世話をする強面の女のみ。冒頭しばらく男たちが徐々に登場し、さりげなく紹介される時間が続いたので、早く…早くバーバラを!断固としてバーバラを要求します!とスクリーンに念を送る。



バーバラ・スタンウィック!「レディ・イヴ」で彼女を知って以来、めっきり好きな女優ランキング上位に。ああ、男たちはもう十分、バーバラのあの引き締まったウェストと足首を…と渇望した瞬間、ジャズクラブの場面に差し掛かり、バーバラ登場!しかもウェストと美脚をこれでもかと強調した、冷静に考えるとものすごく奇抜な、けれどバーバラが着ると不思議に説得力のある衣裳で。


「教授と美女」と「レディ・イヴ」は同じ1941年の映画らしい。「レディ・イヴ」で衣裳に釘付けになったのは露出の激しさゆえだった。身体を覆う面積は少なく、ウェストと脚を強調する衣裳はイーディス・ヘッドによるものだった。「教授と美女」もそんな1941年のバーバラの身体の魅力をこれでもかと伝えるもので、映画衣裳に留まらず、すべからく衣服というのは、着る人の身体の最も美しいパーツをこれでもかと強調してこそ、衣服と着る人の双方が引き立つことを思い知らされる。


バーバラ・スタンウィック、絶世の美女というよりは親しみやすい、写真で見るとバーバラより造形的に優れた女優はたくさんいるけれど、動いた時にあれほどオーラを放つ女優は多くはない。ダンサー出身の身のこなし、生まれながらのフォルムに加え、日々の鍛錬が削ったであろう脂肪、際立たせたであろう筋、身体が動くたびに「活動」写真を観る歓びがもたらされる。


ゲイリー・クーパー演じる有能なれど世間知らずな言語学者が、生きたスラングの採取のため街に繰り出し、最もスラングの溢れる場所であるジャズクラブでバーバラを見初め、男どもの館に招待する。キラキラ衣裳のまま館に乱入したバーバラと8人の男たちの異種格闘技。バーバラが彼らにダンスを教え打ち解け始めると、館全体が身体性を初めて獲得したかのように色づく。


やがてスクリューボール・ロマンティック・コメディの定石として、女っ気のない人生を送ってきた教授(ゲイリー・クーパー)と、小賢しくも魅力的な美女(バーバラ)が惹かれあっていくのだけれど、この感じ、最近どこかで観た気がする…ふと考えてみれば「逃げ恥」ではないか。特に教授!未知の行動をとる前にまず本で調べる(=ググる)とか、キスの味を覚えた途端、大胆さが開花していくなどの細かな描写…1941年の平匡さん発見!


身長差のある2人に効くウィットのあるキスシーン、ヤムヤム(=キスの俗語)の後、「もう一回ヤムヤムをお願いします」とおねだりする教授の表情こそムズキュンの極み!大好きなバーバラに加え、ゲイリー・クーパーまで可愛い「教授と美女」、2016年は最高の映画で暮れた。

2017-01-11

文体


2日ぐっすり眠り、頭がようやく冴えてきた。人間だって動物だから、冬眠制度は必要だと思うの。


年明けのこの時期は、寒いから外に出たくない…と思いながら、様々な媒体が年間ベストを発表するのを、ほう、と眺めたり、オスカーに絡みそうな映画が徐々に公開されるスケジュールをチェックする時期でもある。スコセッシ「沈黙」も間もなく公開のようで。


そんなふうにキネ旬ベストテンを見ていて(こちら)、竹原ピストルさんが助演男優賞か、素晴らしかったものね、と流れで西川監督のメイキングエッセイの更新を読む(こちら)。


役作りのためブラインドタッチの練習中という本木さん、練習中だからなのか、句読点の独特さに読みながら心がざわつくのだけれど、役名の「幸夫」をアレンジし、メールの差出人名がいちいち「幸薄夫」「クラクラ幸夫」「遥々幸夫」と内容に合わせて変化していくことに呆気にとられた。記憶の遠くにある80年代の香りが現在進行形で香る文体。文体にも年齢や世代って色濃く出るのだなあ…当たり前か…。

2017-01-10

お年賀



今日も眠気に勝てておらず、作業が捗らない。


手紙を書く習慣はあるのに、年賀状を書く習慣がないのは、どういうことだろう。いただいたものに昨日ようやく返事を書き終え投函。



瞳に映画を、くちびるに歌を、歯には歯を、ゴダールにはゴダールを。
✳︎ゴダールのポストカードで届いた年賀状(左)に、ゴダールのポストカード(右)で返事した、の意味。10年ほど前、フランスで買ったものだと記憶しているけれど、この2枚、奇遇にも製造元が同じだった。

2017-01-09

GG



新宿で映画を観るために早起きしたので眠く、眠気にはあっさり白旗を上げることにしており(無理して起きていて良いことが何もない)、ジョニー・トーについて書きたいけれども、さっと書けるものを…。

続々とゴールデン・グローブ賞のニュースが。楽しみな「LA LA LAND」(2/24公開)が席巻し、まだ観ぬ映画ながら、大好きなエマ・ストーンが受賞して嬉しい。エマ・ストーン、レッドカーペットでの装いが常に見事で、ドレス選びの的確さに加え、ジュエリーや靴が大胆なほどシンプルなところに賢さを感じる。

そして、ドラマ部門はイザベル・ユペールが受賞!いろんな賞を獲ってる人だから、あのユペールが?という驚きは少ないながら、特筆すべきはとっても嬉しそうなスピーチ(動画はこちら)。クールで落ち着いた人というイメージなので、テンション高めのイザベル・ユペール、珍しいものを観た!おめでとう!という気持ち。

写真は去年、フランス映画祭で来日した時のイザベル・ユペール。同じ空間にいるなんて、夢のようだった。

2017-01-08

Road to Cannes?!



机に向かう時間の息抜きに、録画しておいた「山田孝之のカンヌ映画祭」を家のスクリーンで観る。


新しいことをやってみたくて本を出したり、PVの監督をしたり、そして次は映画を製作し最高峰(=彼にとってはカンヌ映画祭でパルム・ドールを獲ること)を目指したい、と山下敦弘監督を巻き込んで…初回はそんな内容だった。

いちいち突飛な発想の山田孝之の面白さはもちろんのこと、ぶんぶん振り回される山下敦弘監督も気の毒面白く、冒頭、撮影中の山田孝之に呼び出され監督が会いに行く先が東宝スタジオで、七人の侍のイラストが描かれた壁など、スタジオ見学した気分になれたのも楽しい。逃げ恥ロスの解消とまではいかなくとも、毎週の楽しみになりそう。

番組HP

来週は、東京国際映画祭プログラミングディレクターの矢田部氏が登場するみたい。

2017-01-07

応援部隊



冬休みが明けたかと思えば、2日ばかり働いただけで、またも連休に突入。まったく、いつまでもお屠蘇気分が抜けないね!と、のんびり言いたいところだけれど、Cinema Studio 28 Tokyoのdiaryページに機能追加すべく設定したリミットが迫っているので、頭をクリアにし、早くも忘れかけていた言語を急速に思い出しているところ。



なんとなく、こういう分野に強そう、というざっくりした理由で、BB-8&R2-D2が応援部隊として見守ってくれておる。


今日・明日で無事に終えられたら、ご褒美として新宿にジョニー・トーを観に行くのッ!と、念仏を唱え中。振り返ってみれば、この作業を始めた晩秋からずっと、似たような念仏を唱え続けていたように思う。


香港映画は死なない―人情、義理、男気…支持率100% ジョニー党にその身を委ねろ!


http://shinjuku.musashino-k.jp/movies/1343/


ジョニー党!(新しい日本語!)

2017-01-06

Mr.Fox Converse



数百メートル先の友人宅に、出産祝いを持っていくことが、延び延びになっていたけれど、年の瀬にようやく時間が空き、急な坂を渡る。産まれたてほやほや状態から2ヶ月経っただけで、すっかり人間らしく成長した赤ちゃん。


Converseを履いている人を眺めるのが好きなので、世界のConverse人口を増やす草の根活動(=出産祝いに小さなConverseを贈る)を地味に続けている。友人が好きな映画「Fantastic Mr. Fox」に因んで、狐モチーフのデザイン(もふもふフェイクファーに耳と尻尾がついてる!)を選び、いそいそと贈呈の図。友人曰く、子供に見せたい映画ナンバーワン!というレベルで好きらしいので、歩けるようになったら狐シューズ履いて、DVD持参でうちのスクリーンに観に来てくれるといいな。


ウェス・アンダーソン、新作のニュースの斜め上っぷりに驚いた。


http://www.cinematoday.jp/page/N0088537

2017-01-05

小寒



12月、誕生月だからちょっと買い物してもいいよね、など自分に言い訳しつつ慌ただしさのどさくさに紛れ新しいカメラを手に入れた。一眼を使うのが久しぶりで、ピントの甘い写真を量産している。そのうち慣れるだろうか。


2016年に観た映画のメモを見直し、1月の鑑賞本数の多さに驚いたけれど、寒さに負け、家でDVDを観る本数が増えがちな月なのだった。去年は自主的にジョニー・トー祭を開催し、銃撃戦の火花で暖を取ったけれど、ソフト化されているものの大半を一気に観てしまったので、今年はシネマヴェーラのハワード・ホークス特集の余波で、観られなかったものや、バーバラ・スタンウィック(心酔!)の出演する他の監督のものをDVDで観ようと画策中。まずは未見の「His Girl Friday」から数珠繋ぎ的にスタートの予定。

2017-01-04

映画初め



本日、映画初め。東京に戻る途中、京都で下車。打ち合わせ、食事、そして映画。

廃校になった小学校の3階にあるミニシアター・立誠シネマプロジェクト。


http://risseicinema.com/




2度目の訪問。予想以上に中は小学校そのまま。



階段の踊り場、4年生の作品…ではなくて、映画のポスター。12月、東京で隙間を縫って観ていたHHH(Happy Hamaguchi Hour)を追いかけて。我ながらしぶとく。東京で見逃した「THE DEPTHS」を京都で捕獲。あらすじを読んで、これはさすがに肌が合わないんじゃないかと勝手に思っていたけれど、なんのなんの…Hamaguchiであれば何だって美味しくいただきます、ということでもなく画面にするする惹き込まれた。


言語化が難しい濱口映画の魅力。なれど言語化も試みたいところ。そして当初、観たいけれど無理かな…と思っていた希望の映画を、やっぱり全部観た自分の執念よ。

https://hamaguchi.fictive.jp/

2017-01-03

酉年




初詣。私のリクエストにより、唐招提寺へ。鄙びた冬枯れの庭が好き。東大寺や春日大社に比べて、人が少ないのも良い。



小津の「宗方姉妹」は、唐招提寺だったかしら。と、調べてみたら、隣の薬師寺だった。



校倉造の宝蔵あたりにカラスが何羽か。母が「ヒッチコックの鳥は、カラスだったわねぇ…あの映画は本当に不気味…」と言ったので、さすが我が母、考えることが同じだなと思いながら門の外に出ると、何やら騒々しく、目を瞠る光景が…






枯れ木にとまる鳥鳥鳥、響き渡るピヨピヨ、空も一気に重く不穏な色。さっきヒッチコックなんて思い出したから、引き寄せたのだわ…大量の雀を!しかしカラスは数羽でもちょっと恐ろしいけど、雀の大群は可愛いだけだった。何をそんなに鳴いてるんだろうねぇ…今年は僕らの年だよアピールなんじゃない?など、ひそひそ話して通り過ぎた。予想以上に記憶に残りそうな初詣。

2017-01-02

情報摂取



甥っ子のノート。小学生でも英語の授業があるのね。家族の誰にも、几帳面なタイプはいないのに、洋服のたたみ方からノートの書き方まで驚くべき几帳面さで、誰に似たのかしらと不思議。

シャンプーのCMによくある、傷みささくれだった髪の断面、乱れたキューティクルが、しっとり成分でリペアされていくあの図のように、睡眠によりリペアされゆく我が細胞。正しき寝正月。


年末、ささやかながら大きなショックとして、濱口竜介監督がtwitterのアカウントを削除したことがあった。宣言どおり、年を跨ぐと潔く消えていた。「ハッピーアワー」や「親密さ」を一度観てしまうと、自分の欠片が映画に埋め込まれたようにも、登場人物たちの細胞が自分と混じり合ったようにも思えてしまい、彼彼女たちが世界や日本のあちこちで今日も誰かに目撃されている情報も、監督自身から得て、他人事ではないように思っていたけれど、理由もきちんと書かれており、自分自身がここのところ考えていたことと重なりもしたので、寂しいながら納得もした。


「もう10年近くTwitterをやっていましたが、時間の使い方や情報摂取の仕方をどう再構築できるか、試したいなと思っています。」

「Twitterはむしろ好きです。というか好きだからむしろ、みたいなところがあり…。後悔したら素直にすごすご戻って参ります。」


何かしら生み出す人、0から物語を立ち上げるような人には、静謐な時間こそ大事で、いかに情報を絶って静かな場所に篭るか、その人なりの工夫が要るのだろう。監督からどんな新しいものが生まれるのかこそを楽しみに待たねば。

2017-01-01

謹賀新年


新年あけましておめでとうございます。


写真は初詣...ではなく、12/28開館の日、地元の神社に願掛けに行った時のもの。フライング初詣。


昨年は映画の感想をちゃんと書けなかったことが心残り。かろうじて観た映画のタイトルはメモしたので、近々2016bestを書きます。映画初めは京都の予定。東京に戻ったらジョニー・トー新作(こちら)、旧作ではシネマヴェーラ渋谷の浪花千栄子特集(こちら)を楽しみに。


今年もどうぞよろしくお願いいたします。