イメージ・フォーラムで。1978年の短編「家族の味見」はタチではなく、タチの娘ソフィー・タチシェフ監督作。ソフィー・タチシェフはきっと健在だろうと思っていたら2001年に55歳の若さで亡くなっていた。14分という短さながら、観終わった後のほのぼの感が長く後引く可愛らしい映画。
小さな村のパティスリーが舞台。恰幅のいいマダムがじゃんじゃんお菓子を焼いて、その娘が売り子をつとめる小さな店は、何故か常連客はみんな男。お菓子をぱくぱく食べ、ゲームに興じ、またお菓子をぱくぱく食べ… いい大人の男がそんなお菓子ばかり食べるもんじゃありませんよ。途中、マダムがお菓子を買いに来るものの、変なお菓子ばっかりね。って呆れて手ぶらで店を出るシーンがあるのだけど、この店のお菓子には秘密があって…。という秘密が明かされるのが、店を出た男が乗るもののまっすぐ走れない自転車だったりして、秘密に気づかない観客もいそうなささやかさ。こんな可愛らしい短編ばかり集めた特集があったら楽しいな。半日ほどぼんやり画面を眺めていたい。