CINEMA STUDIO28

2014-07-14

思い出のマーニー

 
 
先週末のこと。1年ぶりに、よみうりホールへ。去年「風立ちぬ」の試写会以来。
 
 
 
 
この夏のジブリ。2年連続でジブリを試写で見させていただいた。夏休みは親に連れられてアニメを見に行く習慣のある少年少女がどれぐらいの割合でいるのかわからないけど、私の幼少期はそんな習慣はなかったので(父が好きなハリウッドクラシックを家で一緒に見る子だった)、2年連続ジブリは新鮮。
 
 
千と千尋…も、もののけ姫も見てないぐらい疎遠なので、ジブリの印象といえばナウシカ、ラピュタまで遡ってしまうけども、記憶の中のジブリは、青い空、お菓子みたいな白い雲、高いところから俯瞰で見る大地、正義感の強い女の子、と、一緒に戦いながらちょっと恋の香りがする男の子…みたいなイメージだったので、去年の「風立ちぬ」は老人性もう好き勝手撮らせて系の異形の映画(そういった男性監督が年老いて徐々に我儘に暴走する映画が大好物な私としては、今後宮崎駿の映画は何を差し置いても見ねばなるまい。と思っていたら引退してしまった)だったので例外として、今年の「思い出のマーニー」は私の希薄なジブリイメージからずいぶん程遠いなぁ。これが現代というものか。と、物語よりそちらの違和感をスルメみたいにしがしがしながら見た。
 
 
小学生の頃、父に買ってもらったお菓子づくりの本を今でも持っており、たまに眺めると、ケーキの型の大きさ、砂糖の多さに時代を感じる。最近のお菓子本は身体に優しそうな素材で、少ない家族でも食べきれる量の小さな型でつくるものが多いことを考えると、現代の幼少期の過ごし方も、私の小さい頃とはきっとずいぶん違うのだろうなぁと想像したりしている。
 
 
「思い出のマーニー」の主人公の女の子は、学校で仲間に馴染めず、休み時間は校庭でスケッチし、同級生にからかわれると過呼吸になる。これまでのジブリのヒロインとはずいぶん違った彼女のストレスの原因が複雑な家庭環境にあることが徐々に示され、都会から静養に移動するのは夏でも曇った空の湿原地帯で、青い空も美味しそうな白い雲もなかった。そこで出会うマーニーという金髪碧眼の少女との物語は、なるほど異国の児童文学が原作、と納得する展開。始まって8割がた、暗い物語に面食らいながら見ていたら、残りの2割でしっかり感情移入。少女が自分自身に出会う過程を丁寧に追った大人の映画。大きな何かと戦わず、ひたすら己の内面と向き合う少女の物語に登場するのはもう1人の少女で、ちょっとだけいい感じの雰囲気になる、一緒に戦う少年はもはや登場の余地すらない。主題歌も英語だし、流行るのかしら…と心配になったけど、去年「風立ちぬ」も流行るのかしら…と思ったのがとんだ杞憂で大ヒットだったので、ジブリブランドは強いなぁ。これもきっと大勢の人が見に行って、あの少女の夏を静かに見つめることになるのだろう。
 
 
いつも美味しそうなものが登場するジブリ、今回は四角いピクニックバスケットから出てきたジュースとクッキー、かわいらしい2人の少女にぴったりで、とても美味しそう。
 
7月19日から公開