今日、オルセーにあるクールベの「l'Origine du Monde(世界の起源)」が、今はオルセーにない。という日記を読んで、
オルセーの作品なんてしょっちゅう世界中に貸し出しされてるだろうから、私がオルセーであの絵を観られたのはラッキーだったのだな、と思った。絵に動揺したわけじゃないけど、撮った写真は全部ピンボケしてた…。
この間この絵を思い出したのは、ホン・サンスを劇場で観てから、私的ホン・サンス祭(=DVDで過去作を狂ったように見る)を開催した際に見た「アバンチュールはパリで」を見た時だった。
DVDのパッケージを見ていると、パリでロケした軽妙で爽やかなロマコメのように見えてしまうこの映画、中身はパッケージを大きく裏切り、相変わらずのホン・サンス節。映画監督が何かの事情で妻を置いてパリに逃げ、おそらく郊外にある知人の家に身を寄せ非生産的な時間を過ごす。もちろんパリでも女をたぶらかし、韓国とパリの距離を隔て展開する身勝手でだらしなく最低なホン・サンス映画独特の男の恋愛模様なのだけど、だらだら過ごす男もオルセーには行っておかねばと思ったのか、オルセーロケの場面があった。
わああ。ホン・サンス映画で、オルセーロケときたら、あの絵が登場するに違いない。と想像してたら案の定、「l'Origine du Monde(世界の起源)」が登場し、けっこうな時間、男がこの絵を覗き込んでいたので心で大笑いしてしまった。期待を裏切らないホン・サンス。
パリを再訪したとして、大きな美術館を再訪する気になるかはわからないけど、「l'Origine du Monde(世界の起源)」をまた観られるなら、行ってみたい気もしている。絵の前に立ったときの心のざわつきは、あの絵にしか引き起こせない種類のざわつきだった。