CINEMA STUDIO28

2016-11-17

H.K.2016



そういえば今年はH.K.の映画をほとんど観ていない。H.K.って誰かって?そんな質問、野暮ったらありゃしないッ!ヒロシ・カワグチに決まってンじゃないのッ!いけない、H.K.のこと考えると、つい大映口調になっちゃう。


1本だけ観たのは、市川崑映画祭の「おとうと」の上映。あの映画とはずいぶん久しぶりの再会で、今年最もデジタルリマスタの威力を思い知った上映だった。マイ・宮川一夫・ベストワーク。角川シネマ新宿の、大きな方のスクリーンで観たという体感も大きい。


映像に圧倒され、そしてこの映画はやっぱり岸恵子ばかり観てしまい、川口浩の印象が薄い。川口浩あっての岸恵子の演技とも言えるのだけど、ただでさえ線の細い岸恵子が、撮影前に「骨と皮になるまで痩せてくれ」と監督に言われたとかで、カピカピに痩せており、地味な着物の裾から鶏ガラのような脚が覗くたび、お姉ちゃんの健気さに思い入る。


上映後、岸恵子さんがトークで登壇され、真っ赤なお洋服の岸さんは、鶏ガラほどではないにせよ、80代の今もスラリとしていた。年齢を感じさせない人を見るたびに、余計な脂肪をつけないことこそ年齢不詳の秘訣、と思い知らされる。撮影時のエピソード、森雅之と田中絹代という大御所との共演で緊張し、浩くんとばかり喋っていたこと。あの頃はみんな撮影が早く終わると車を飛ばして銀座の喫茶店でお茶をしたり。浩くんは、ひとみちゃんと一緒で。と、岸さんが話したので、好きな男子が可愛い女子とデートしてたってよって聞かされた13歳の自分に瞬時に引き戻された。…私も岸さんみたいに親密さをはらんだ口調で浩くんって呼びたいッ!



2016年H.K.は、1本のみになりそう。