シネマヴェーラ「映画史上の名作」特集、隙をみてコツコツ観てる。年末に観た2本について。
プレストン・スタージェス監督「パシュフル盆地のブロンド美人」1949年アメリカ。
スタージェス、シネマヴェーラの夏にあった映画史上の名作特集で遅ればせながら初めて知って熱狂。その時観た「パームビーチストーリー」は「結婚5年目」という別のタイトルで日本ではソフト化されてるらしい。今回観た「パシュフル盆地の・・」が私のスタージェス2本めだけど、この2本はたくさん共通点がある。どちらもスクリューボールコメディ(って佳い言葉!)ながら、ルビッチやワイルダーの作風より断然ワイルドで奔放。どちらも必要以上に銃を撃ちまくる人たちが登場するし、どちらも女は慌てて列車に乗り込み偶然着いた場所で人生が新たに展開する。どちらも常軌を逸した強烈なキャラクターが登場するし(パームビーチ・・は列車に同乗するおっさん連中、パシュフル盆地・・は双子の兄弟)、どちらも同じネタの反復(パームビーチ・・は妻のドレスのファスナーを担当する夫、パームビーチ・・は何度もお尻を撃たれる判事)がある。製作当時のアメリカ、今よりもっと保守的だったと想像するのだけど、スタージェスの作風はどう受け入れられたんだろうか。ルビッチやワイルダーほど安心して家族や恋人同士で観られる感じでもなく、観る人を選んだんじゃないかなぁ。
しかしスタージェスの映画は勝気なヒロインばかり登場して痛快。やはり女は周りを気にしないほうが美しい。「パームビーチストーリー」は女は身一つで逃げても、色目を使って列車に無料で乗れるし、手ぶらのほうが新奇な出来事に出くわしがち、という映画だと理解したし、「パシュフル盆地・・」は芸は身を助けるから拳銃操作は怯むより修得したほうが人生のためだし、浮気男に耐える必要なんて1ミクロンもない、という映画だと理解した。「パシュフル盆地・・」陽気な主題歌も見事。スタージェス、もっと観たい。
スタージェスについて詳しい記事。特集上映してほしいなぁ。
もう1本はロバート・ピロッシュ監督「二世部隊」1951年フランス。・・・と書いて驚き、フランス映画だったのか!アメリカだと思ってた。戦争映画ってほとんど観ていないけど、これは珍しい部類の映画ではなかろうか。
第二次世界大戦中、日系人のみで編成されたアメリカの部隊の活躍を描く。日系人という理由でアメリカ人の将校たちからの蔑視も受けていたけど、勇敢に戦ってたくさん褒章もらいましたよ、という映画なのだが、映画自体のおもしろさは途中でどうでもよくなり、こんなニッチな映画、どういう理由で作られて公開当時はどういう反応だったのだろうか・・と考えてしまった。同胞がんばりましたよ、という日本の映画なら理解できるのだけど、アメリカ人として戦う日系人を描くフランス映画・・。戦争シーンの再現は真に迫っており、爆破も多くて制作費もそれなりにかかってそうなんだけど・・ちゃんと回収できたのかしら・・?と妙なことばかりつい気になり、たいした感想も抱けないままエンドマーク。