何が新しくて何が古いのか判断する能力なんて自分にはないけど、週末、早稲田松竹でダニー・ボイル「トランス」と、ジョシュ・トランク「クロニクル」を続けて観ると、ダニー・ボイルってもう過去の人なんだなぁ。って思ってしまった。主演俳優が友人に似てること、女優さんはどこかで見たことあるな?と思ってたら「デスプルーフ」で最後にこの世でいちばん素敵なかかと落としをキメてくれたあの娘であること、ヴァンサン・カッセルは個性的な男前で堂々たる体格なのにちょっとマヌケな役がハマるのは何故だろうか不思議なこと。など、変な方向にばかり興味が湧いてしまい、まるで物語に集中できないうちに終わってしまった。
「トランス」が古いわけじゃなくて、もしかして「クロニクル」が新しすぎちゃって「トランス」が損な役回りになってしまっただけなのかしら。去年の秋に最初に観た「クロニクル」、観終わった後、呆然として周囲に薦めたのだけど、誰もピンと来てなかったのは「男子高校生が超能力を手に入れる物語」ってあらすじにも、スチルやタイトルにも名作の香りがまったく漂わないからなのかな。
85分という短さがまず素晴らしい。編集が絶妙。とても速い。高校生が撮った映像を繋げたというつくりにしているからか、youtubeを適当にウロウロしながらひとつひとつを最後まで見ずに次の映像にどんどん乗り移っていくみたいな85分。学園モノはアホになるかシリアスになるか匙加減が難しいけど、どっちも盛り込みながらシリアスな顔をした他の映画よりよほど青春の普遍に触れている。せっかく超能力を手に入れても、彼の問題は何ひとつ解決しないのが切ない。
うまく「クロニクル」の魅力を伝える言葉が見当たらないまま、薦めたうちのひとりが早速観てくれたようで、やはり興奮しつつ、タイトルやあらすじのせいで埋れてしまいそうなのが惜しいと言っていたので、酷いタイトルつけられたせいで面白いのにメジャーにならない映画シリーズより2本「ラブ・アゲイン」「スーパーバッド童貞ウォーズ」を追加強力お薦めしておいた。アメリカの青春学園ものが好き!おバカであればなお良し!な私の映画嗜好って何が起因なんだろうか。前世はもしかしてプロムの前日に事故に遭い非業の死を遂げたアメリカの男子高校生だったのかもしれない…。