CINEMA STUDIO28

2015-01-25

Revival schedule


映画のリバイバル上映ニュース、嬉しい2本。
 
 
ブレッソン「やさしい女」4月4日から、新宿武蔵野館で。
ブレッソンをまとめてスクリーンで観ることを長らく願ってるのだけど、注意していても東京でかかるのは年に数本だと思う。「白夜」同様、ドストエフスキーの短編の映画化。「白夜」、大好きな映画で、原作にも手を出したものの、あまりに読みづらくて3ページで放棄。主人公の男が女に出会い、久しぶりに話し相手に会った興奮で自分のことを脈絡もなく話し続ける言葉が、ページをめくってもめくっても終わらなくて辛かった…。あんなに喋りすぎる男を、ほとんど話さない寡黙な男に仕立て上げたブレッソン版だけで私は十分。話しすぎる人は小説でも映画でも現実でも苦手らしい。
 
 
そしてエドワード・ヤンのことを思い出していたら、「恐怖分子」が3月14日からリバイバル上映されることを知った。イメージフォーラムで。
 
 
96年に公開されて以来、大規模なリバイバルは初めてらしい。京都で映画のチラシをもらったものの、当時は見なかったはず。でもチラシのデザインが好きで、捨てずに持ち続けていた。セロテープつきなのは北京の部屋の壁に貼ってたから。2007年、エドワード・ヤンが亡くなった年、秋の東京国際映画祭で追悼特集があり、通って全てのプログラムを観た時、「恐怖分子」を初めてスクリーンで観て、これまで他の映画だと思ってたけど、これがエドワード・ヤンで一番好きかもしれないと思った。抑制の効いた乾いた映画。変わり始めた私の映画の好みを規定した1本。
 
 
「エドワード・ヤンへと続く道」という、追悼特集でもらった冊子を読み返していて「恐怖分子」の紹介の中に、ブレッソンの名前が挙がっていた。
 
 
「簡潔なショット、最小限の音声による鋭い時空間の醸成は、ロベール・ブレッソン監督が引き合いに出されるほどの強度を誇っており、「街」そのものの病理を、錯綜した人間関係のほつれにトレースしたかのような構造は、群を抜いた効果を発揮している。」
 
 
そうそう、「恐怖分子」とブレッソンの映画は、自分の心の同じパートが好きだと言ってる感じで、「ヤンヤン 夏の思い出」などは別のパートを使って好きだと思ってるから、エドワード・ヤンはやっぱり1作ごとにガラリと変わってた。
 
 
フィルモグラフィーを思い出し、何か1本観るなら「恐怖分子」と思っていた矢先のリバイバルニュース、嬉しい。これを機に他のも観られるといいのだけど。もちろん「クーリンチェ少年殺人事件」をいつかスクリーンで観たいという夢は諦めてはいないけど、日本ではあいかわらず難しいのだろう。
 
聞くところによれば、の前置きつきで、込み入った事情があるらしく…
 
 
東京国際映画祭の特集でもあの映画だけかからず不自然だった。パリでは何年か前、確かシネマテークにかかったと聞いたので、いつか異国ででもタイミングがあって観られたらいいな、と虎視眈々と狙っている…。あの映画を観られるならば、お金やら能力の提出やら、できる限りのことはする。と思ってる映画好きは少なくないに違いない。