CINEMA STUDIO28

2015-11-04

memorandom / 東京・消失・映画館 最終回

 
 
消失した映画館と、そこで観た映画の記憶。
memorandom連載 最終回 更新されました。
 
 
かつて、一冊の本…亡くなった女性の日記と、彼女の周りにいた人々の追悼文で構成された本…について話をしていた時、「本は、それ自体が追悼の形をしている」と会話の相手がぽつりと言ったので、書かれ、印刷され、綴られ、ぱたんと閉じられた本は、たしかにそんな形をしているかもしれない。と、思ったことを、連載が更新されるたびに思い出した。
 
 
ささやかな記憶が取り出され、整えられ、絵を添えていただいて、発光する画面の向こうに行ってしまったのを見届けると、この場所にもう二度と入れないという現実を突きつけられ、粛々と無言で進める喪の作業のように、お盆の終わりに舟に乗せて水辺に流すように、映画館をひとつひとつ見送る、そんな気分を味わった。
 
 
それでも、私ひとりのささやかな記憶が、誰かの記憶と手を繋げたなら素敵なことだと思っています。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
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