CINEMA STUDIO28

2015-11-01

TIFF2015 / 走り書きメモ9

 
 
東京国際映画祭、いよいよ最終日。土曜の走り書き。最終日は各賞発表、クロージング上映、受賞作品の上映。会期中ずっと見事な天気だったけど、最後に曇った。曇ると途端にSF感が増す。
 
 
コンペティションをたくさん観た私なりの予想は、観客賞は「神様の思し召し」(イタリア)。これは観ていない3本のうちの1本だったのだけど、良い評判がちらちら聞こえてきたので。グランプリ予想は「地雷と少年兵」。日本の3本は賞に絡むとしたら「FOUJITA」かな。私が映画祭で映画を観るのが好きなのは、出来立てほやほやの映画が観られるからなので、過去の人物を描くような映画(今年はこれが多かった)より、現代をしっかり描いているものほうが好きで、その意味で「スナップ」(タイ)、「フル・コンタクト」(オランダ・クロアチア)が印象的だった。日本のものではアンドロイド女優が登場した「さようなら」が、コンペで観る意味があったかな、と思う。
 
 
そして六本木に着いてみると…。観客賞は意外とスクリーン7ではなく、スクリーン2だった。発表、授賞式、上映という流れなので、到着時点では何の映画を観るかもわからず。紫の法被を着た港区のおじさま方によって発表され…「神様の思し召し」…予想的中!
 
 
 
 
法被を送られ記念撮影する監督の図。観ていない映画だったので最後に観られて嬉しい。これでコンペは18本中16本観ることができた。観られなかったのは「ルクリ」と「残穢 ー 住んではいけない部屋」の2本。
 
 
映画は優秀だが傲慢な無神論者のブルジョワ医師が、口は上手いが訳ありそうな神父と出会って変化していく…というコメディ。脚本家として実績のある監督らしく、脚本が精緻で安心して笑っていられるのだけど、神は在りや?ひいては何を信じて生きるのか。信じるものが違う人々は共生できるのか。という主題が背景にあり、敬虔なカトリックの多いイタリアの、こんなに現代的な映画を観ることができて幸せ。
 
 
夜のグランプリ上映まで時間が長く空くので、いったん帰宅して体力温存。各賞発表は午後からニコ生で中継されるとのことだったので、部屋で結果を見守る。
 
 
 
 
男優賞、女優賞は順当な印象だったけど、グランプリ…!「ニーゼ」(ブラジル)が獲った!これはちょっと意外だったな。賞は審査員が決めるものなので、好みに合ったのだろう。ということで、夜に観る映画が確定。しっかり休んで、最後の六本木へ再び。日比谷で乗り換えると、すでにホームにパンダの着ぐるみの人がいて、おお…ハロウィンナイト…と思っていたのだけど、六本木で降りて映画館に向かうにつれただごとではない事態に。いつの間に東京はこんなにハロウィンをコスプレで祝うようになったのか。スパイダーマン、ナース、胴体がカップヌードルの人…など、あらゆる仮装の人々を横目に映画館へ入ると、ふぅ。と一息ついた。
 
 
スクリーン7、上映前に監督からのご挨拶。あまり英語が流暢ではない人なのだけど、言葉を選んで映画に込めた思いを語り、俳優陣への賛辞も。Q&Aの時もそうだったけど、招いた映画祭スタッフや観客にも丁寧に感謝を伝える人だった。
 
 
 
2度目の「ニーゼ」、ブラジルに実在した女性精神科医の物語。感想は追って書くとして、完成まで13年かかった、というコツコツと丁寧な歩みが出来上がった映画に反映されているような、骨太な映画。私は女優さんが演じるニーゼの、最後の表情が好きだった。グランプリも獲ったことだし、配給がついて無事上映されるといいな…。
 
 
そしていよいよ疲れが出たのか「ニーゼ」上映中から、身体がどんどん重くなり、椅子にずぶずぶ沈みながら、いかん、これはきちんと疲れを抜かなければ。と、六本木の狂騒を横目にさささっと帰宅し、私の東京国際映画祭は終了。はぁぁぁ楽しかった…!泥のように眠って起きがあったら、祭の後の寂しさがやってくるんだろうな。