CINEMA STUDIO28

2013-12-02

Manon70

 
 
スクリーンでクラシック映画の中の美女を堪能するシリーズ、オードリーに続く第2弾はドヌーヴ。1967年のフランス映画「恋のマノン」を観た。「マノン・レスコー」を当時のフランスに置き換えた設定で、美しい女が男どもを手玉にとる物語。
 
 
 
ドヌーヴが美しさの極みで、60年代らしいカラフルなウンガロの衣装を着替えまくる。オープニングがファッションショーの舞台裏でモデルたちが着替えまくる華やかさ(ミニスカートにニーハイブーツ、その下にカラフルなストッキングを身に付けており、あまりフィット感のなさそうなシフォンみたいなストッキングなのが面白い)、冒頭のシーンは日本の空港。あれは当時のリアルな日本の空港・・?「ティファニーで朝食を」のMr.ユニオシの部屋ばりに作られた嘘くさい和風感だったけど、セットだったのかな。マノンに一目惚れした男が、彼女にあわせてエコノミーからファーストクラスにアップグレードするとき、差額が15万円ほどで、ドルに換算すると約500ドルですわ。と、航空会社の女が男に告げる。1ドル300円時代。
 
 
 
例えばサスペンス映画で、緊迫した場面で電話が鳴るとき、電話機をズームで写すような映画はダメダメなB級C級映画である。って誰の言説だっけ。ってのを思い出すほど、ドヌーヴが美しくて衣裳がウンガロだという以外に魅力を見つけられない、編集でズタズタに短くしたくなるほど、どうでもいい場面がひたすら間延びして長いダラダラした映画で、これまでこの映画を観る機会がなかったのが理解できたのだが、ドヌーヴ以外にも眼福はある。相手役のサミー・フレイがドヌーヴに平等に釣り合うほどに美青年。
 
 
 
 
「はなればなれに」で、アンナ・カリーナの画面右で踊る男、サミー・フレイ。この映画の時はこれほど美青年とは気づかなかった。
 
 
 
 
私生活ではバルドーの恋人だった時期もあるらしい。美男美女。アラン・ドロンほどアクが強くなく、さりげなく美女の隣にいるのが似合う。アラン・ドロンだとさりげなく存在するのは無理だものね。
 
 
物語は、金ヅルにしようと思って金持ち親父に近づくも、計画が失敗に終わり、身ひとつで投げ出された2人が裸足でヒッチハイクするところで終わる。男が女に言う「誘惑するのは得意だろ?」ってセリフも良いし、2人に漂うなんやかんや言うてもヒトとして気が合ってる感も良い。豪華な衣裳を着替えまくったドヌーヴが最後は質素に、ニット、デニム、裸足、ハンチングのシンプルな装いで、結局それが素材の良さをいちばん引き立てて素敵という時代は前後するけど「プリティ・ウーマン」のジュリア・ロバーツ方式。最初と最後が良く、美男美女と衣裳を楽しめ、それだけでこの映画はじゅうぶんに良い映画なのかも。