雪の日に、ヴァンサン・マケーニュ特集の短編上映で。
邦題は「僕たちに残されるもの」。ヴァンサン・マケーニュによる監督作品、40分の短編。本人は出演していない。ふわふわした生活を送る画家の弟と、金銭問題を抱える兄とその妻、3人しか登場しない。兄弟の親が亡くなり、何故か全ての遺産は画家の弟に遺された。金銭問題を抱える兄は激昂する。激昂する40分。
喜怒哀楽のうち怒と哀だけ抽出したような息の詰まる40分だった。どうしようもない物語。兄とその妻は完全に感情の閾値を超えており、さらに弟は何を言われてもふんわりしているので柳に風。
男ども2人より、夫に寄り添うでもない妻の存在が終始気にかかった。妻役は「女っ気なし」で色気たっぷりの母親役を演じたロール・カラミーが演じている。ロール・カラミーとヴァンサン・マケーニュは演技を学ぶ学生時代からの友人であり、ヴァンサンがティーチインで語ったことには、ロール・カラミーは脚本にない言葉を即興で追加することができる女優で、彼女によって追加された台詞は、元の脚本の表現や流れに沿っている、とのことだった。とても信頼してる様子だったから、これからもヴァンサンが出演したり監督したりする映画で、ロール・カラミーを観られるのかもしれないとしたら、楽しみ。