CINEMA STUDIO28

2014-02-10

The Wolf of Wall Street

 
 
大雪の日に、六本木ヒルズで。スコセッシ×ディカプリオ「ウルフ・オブ・ウォールストリート」観る。R18指定も納得、3時間ずっと金、クスリ、女のエンドレスループ。すごく下品で、だから最高だった。名画座にまわった頃にまた観たいぐらい。
 
 
 
 
学歴なし、貯金なし、コネなしの裸一貫でウォールストリートを登りつめ、転落していった男の実話。原作権を買ったディカプリオは製作も兼ね、撮影にこぎつけるまで何年も要したとか。役作りにあたっては、主人公である原作者と多くの時間を共にし、仕草や人となりを観察して盗んだのだとか。その甲斐あってか、ディカプリオの演技を呆気にとられて眺めてるだけで3時間あっという間。特に、レモンという強烈なドラッグを齧った後しばらくのシーンは、ここ数年観たあらゆる映画の演技の中で最も強烈だった。己の引き出しを出し惜しみなく全部開けてて清々しい。ジャック・ニコルソンにも、フィリップ・シーモア・ホフマンにもディカプリオにも見えるディカプリオ。ディカプリオが欲しがってるのかどうか知らないけど、あれでオスカー獲れないとしたら、いったいどんな演技した俳優なら獲れるんだろ?クスリでラリった演技がやたら真に迫ってる。なんて、保守的なイメージのあるアカデミー賞の投票者は嫌いそうだから、今年も獲れないのかな・・。
 
 
いっけん70代の監督が撮ったとは思えないフレッシュな映像に思えるけど、よくよく考えてみるとディカプリオの熱意を、時にクールにいなしながら少し距離を置いて仕上げたスコセッシの老獪さも見もの。冒頭すこししか登場しないのに、短い時間ですっかりディカプリオにウォールストリートでの処世術を教えるマシュー・マコノヒーも気持ち悪くて最高。原作者はヒッチコックばりにカメオ出演してて、最後のセミナーのシーンでディカプリオの登壇を促す司会者が原作者とのこと。登りつめ方に問題はあれど、テンション高く己の欲を満たすべく世の中を泳いで行く主人公の生き方、どうしても嫌いにはなれなかった。内容が内容だけに周囲には大声で勧められないけど、こっそり、面白い映画ありますぜ旦那!って誰かの耳元で囁きたい気分。