アップリンクの見逃した映画特集、本当に私にとっての見逃した映画特集で、助かる。今年観た中で良かった映画の話をしてる時の、もうとっくに上映終わったしDVDになるかどうかもわからない。って切なさも回避可能。「グランド・ブタペスト・ホテル」って人気あるんだなぁ。「ムーンライズ・キングダム」のほうが断然好きだったのだけど。
見逃した「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」(懐かし感漂う邦題)を鑑賞。ジョナサン・グレイザー監督はジャミロクワイ「Virtual Insanity」のPV(懐かし!)などで有名な人。主演はスカーレット・ヨハンソンで、この映画で遂にフルヌード!という点で少しだけ話題になった映画。イギリスの北のほう、荒涼とした寒そうな街で、スカーレット・ヨハンソンに声をかけられた男たちが次々に消えていくという謎の女の物語で、タイトルがずいぶん種明かししてるけど、あらすじを知っていてもいなくてもこの映画がもたらす感覚に大きな差異はないのでは。
クローネンバーグなどとは違う角度の、でも奇妙で癖になる不思議な映画。観ながら、この映画にスカーレット・ヨハンソンをキャスティングする発想の勝利だし、これまでも脱ぐことを全世界が期待していたであろうスカーレット・ヨハンソンが敢えてこの映画で。というところに、俳優としてプライドあるなぁ、と唸った。スカーレット・ヨハンソンの全裸は、撮りようによってもっと夢見心地な見せ方ができるはずで、むしろ失礼なほど全く綺麗に映っておらず、でもこの物語には誰もが誘惑されてしまう表皮、その説得力が何より必要で、だから脱いでると嬉しいけど脱がなくても色っぽければ大丈夫。という程度のラブシーンで脱ぐのとは大違いなのだよなぁ。スカーレット・ヨハンソン、賢い。
映画を観る時の癖として、なぜか音がほとんど耳に届かず残らない傾向にあり、一緒に観た人が後で映画に流れた音楽を聴きながら、これはあのシーンで流れていたね。という会話にまるでピンとこない。鑑賞時の集中力はほとんど目によって消費されているらしいのだけど、この間、ウディ・アレン「セプテンバー」を観た後、嵐の夜に小さな音で流れていた曲は「I'm confessin'(that I love you)」という曲だと教えていただいた時、曲名をあらかじめ知っていたら、あの場面でその名前の曲が流れてきただけで、画面を観る目もずいぶん変わっただろう。と思うと、耳に疎いせいで知らないうちにもったいないことをしているのではないか、と考えているところ。「アンダー・ザ・スキン」では繰り返し流れる音が耳につき、その音が「Death」というタイトルと知って、観終わった今、改めて戦慄しているところ。
Under the skin / Death
見逃した人が多かったのか、アップリンクは満席。