奈良をしばし経由して山陰に移動し、足立美術館へ。実業家の美術コレクションを披露する美術館で、横山大観のコレクションと、庭園が有名。
https://www.adachi-museum.or.jp/
アメリカの日本庭園専門誌でこちらの庭が13年連続で1位を獲得。ちなみに2位は桂離宮…ということなのだけど、アメリカの日本庭園専門誌という存在がすでにずいぶんニッチなのでは…。
https://www.adachi-museum.or.jp/archives/news/3484
広大な敷地におおらかな日本庭園、財力って恐ろしいと思うことに、遠くの山の稜線も庭園の景観の一部で、景観を保つため、山も所有しているのだとか。最初は規模に圧倒されるのだけど、次第に大味さに飽きてくるというか、京都のお寺のちまちまっとした庭、こんな狭い空間に小宇宙が!という感慨をもたらす庭のほうが好みなのは、大自然に投げ出されると何をしていいのかわからなくなる街っ子気質のせいかもしれない。
展示で印象的だったのは、伊藤深水の絵が2点あり、1つは女学生をモチーフにした、若き日の朝丘雪路がモデルとして登場するもの。伊藤深水、朝岡雪路のお父さんだったね。そしてもう1枚。
「ペルシャ猫」というタイトルの絵。和装にパーマのかかったショートヘア、猫を抱く手にパールの指輪というモダンな装いの女性は、女優の木暮実千代がモデルなのだとか。木暮実千代をモデルとした伊藤深水の絵は他にも存在するらしい。
木暮実千代、絵から飛び出してきたような絢爛な美しさがあるな…と思っていたら、実際に絵に描かれていたのね。私の好きな木暮実千代は「お茶漬けの味」で不機嫌そうな佐分利信を相手にする木暮実千代。佐分利信が終始、お嬢さん育ちの木暮実千代を持て余し気味なのがいい。