CINEMA STUDIO28

2015-04-07

新訳出来

 
 
ブレッソン&ドストエフスキーの組み合わせ繋がりの「白夜」のリバイバル上映は、ポスターやパンフレットも素晴らしかったので、「やさしい女」も必ず買っておこうと息巻いていたものの、拍子抜けすることに、発売がなかった。それなら。と、最近出た講談社学芸文庫の「やさしい女・白夜」の組み合わせの一冊、ドミニク・サンダの写真の帯がついているのを何かで見たから、かわりに買おうかな、と思ったけど、映画館には売っておらず、紀伊国屋も閉まってる時間。次の日、有楽町の三省堂で探したけど在庫がなかった。
 
 
Amazonで頼むか、往来堂に取り寄せてもらうか、どちらしてもすぐに手にはとれないな…と、図書館検索してみると在庫があって、あっという間に取り寄せられた。Amazonより図書館のほうが早い、ということは、しょっちゅうある。帯つきのを所有したいので、そのうち書店で見かけたら買うだろうけど、2度目を観るまでに中身を読んでおきたい。
 
 
ブレッソンのリバイバルにあわせて編集したとしか思えない、この短篇2篇の組み合わせ、さわりだけ読んでみても、新訳でするする読める。「白夜」は原作に手を出してみたけど、古い訳だったせいか3ページで挫折した。訳文の文体のせいもあるけど、主人公があまりに感情的で饒舌すぎて、そういう人の話を聞くのが何より苦手で、すみません…無理…という気持ちで本を閉じた。あの饒舌な男の口をぴしゃっと閉じて、物語のエッセンスだけ抜き出して仕立て直したブレッソンの手業に唸った。「やさしい女」も、ブレッソンが何を削って何を残したのか確かめておきたくて、二度目までに原作を読み終わりたい。
 
 
 
 
去年、フランス映画祭でヴァンサン・マケーニュ主演の「2つの秋、3つの冬」という映画を観ていると、ヴァンサンの部屋に「白夜」のポスターが貼ってあった。電話をかけるヴァンサンの背後にあった。
 
 
 
 
それはフランス版のこのデザインで、私の部屋にはリバイバル時のチラシを貼っているから、部屋に「白夜」を貼ってる同士のシンパシーを感じたのだけど、たしか電話をかけるヴァンサンのセリフは「白夜」を観ていたら、君のことを思い出して…と誘う内容だった記憶があって、映画は好きだけど原作恐怖症の私は、その誘い文句、ちょっと怖い…と怯えたのだった。
 
 
 
新訳、するすると読みやすいけど、読みやすいからといって、男の独白調の、その内容は映画同様、するする受け入れられるものではない。今回はどちらも最後まで読み通せますように…。