CINEMA STUDIO28

2016-09-04

9/3 Apple Ginza


9月に入った途端、堰を切ったように映画の秋が始まったみたい。鈴虫も鳴くはずだわ。土曜、Apple Ginzaにて、黒沢清監督と浅野忠信さんのトークへ。


監督はフランスで製作した「ダゲレオタイプの女」が、浅野忠信さんは主演された深田晃司監督「淵に立つ」がこの秋公開。黒沢監督作品に関わったカメラの方が「淵に立つ」に参加していたり、浅野忠信さんは「岸辺の旅」の主演だったり、と共通項も多い2作。「ダゲレオタイプの女」の予告篇が流れた後、フランス映画っぽい映画に見えるし、実際フランス映画なのだけど、この映画はホラーですからね、怖いですよ。とコメント。そして「淵に立つ」も監督曰く「これはホラーですよね」と。どちらもホラーとの共通項もあるらしい。そしてホラーの範囲は広い。


詳細はこちらの記事に。黒沢監督が、世界で活躍するために、とのアドバイスを求められ、海外で通用するかどうかを考えたり、日本の監督として日本らしい視点が求められているのでは、という考えは捨てた方がいい。映画そのものを見られている、と考える。だから自分の足もと、こんな映画を作りたい、ということを集中して磨いていくこと。と答えていらしてたの、良かったな。


http://natalie.mu/eiga/news/200527


記事には書かれてないのだけど、会場で俳優志望の方から浅野さんに質問があった。海外をいつから意識していたのか、との質問には、浅野さんはアメリカのクオーターで小さい頃は髪も金髪、街を歩いていても英語で話しかけられるぐらい見た目が日本人ではなかったから、自分が日本人という意識がなかった。との答え。さらに同じ方が、劇団活動?で演出や俳優仲間から俳優としての資質に厳しい言葉があり自信喪失して俳優を目指すことを中断してしまっている、心の持ちようをどうすればいいのか(だったかな?浅野さんはどう向き合うか、という主旨)の質問があり、それに対する答えがとても良かった。


曰く、クオーターで見た目が日本人ではなかったから小さい頃は苛められもしたが、母親がとてもポジティブな人で「いま苛められたってことは、これからいいことがあるってことよ!」など言われ、だからのほほんとしていられたのだと思う、と。素敵なお母さんだなぁ…と思ったけど、今時そんな感想を持っては、何ひとつ解決してないのに!など言われちゃうのかしら。浅野さんがよく演じるエキセントリックで不穏な役柄と、本人の口調や雰囲気はギャップがあって俳優って凄いな、と思うと同時に、本人ののんびりした印象は小さい時に形成されたのかな、と思った。


「ダゲレオタイプの女」「淵に立つ」、10月公開。どちらも9月に先立って観る予定があって、俄然楽しみに。ホラーを観る心構えと共に。