アップリンク2階、スクリーン3だっけな。の、最前列。「人を駄目にする椅子」と呼んでるふかふかの大きな座椅子。中央からちょっと奥にずれた席を自分的指定席にして観る年末年始恒例の「見逃した映画特集」、本当に見逃した映画ばかりでありがたい。
師走の足音が聞こえると、待ってましたとばかりに今年観た映画ベスト10を発表する人はそれなりにいるけど、それってその後はもう映画観ないってことなのかなぁ。12月30日に今年ベストに出会っちゃったらどうするんだろう。私も久しぶりにベスト10を考えてみようかと思ってるけど、年が明けてからだな。今日のように、12月28日にさらっとベスト10に入るだろう映画に出くわすこともあるのだから、大晦日まで気が抜けない…!
横浜の海に浮かぶ映画館で「夜来風雨の声」という映画を観たのはただの偶然で、前日の金曜夜ギリギリまで仕事が立て込んでて、土曜はすぐに起き上がれないし横浜まで行くなら夜の回の上映しか無理だな、と判断。翌日は「砂の女」がかかることも知ったけど、なんとなく知らない場所に連れて行かれるなら真っ昼間より夜のほうが冒険ぽくていいな、というだけの理由で、監督、キャスト、スタッフ誰も名前の知った人のいない映画だったけど、観てみるとその静謐さや俳優の佇まいになんとなく気になるものがあって、夏に見逃していたらしい監督の新作も観るんだったな…と軽く後悔していたら、アップリンクにかかった。しかも12月30日から1月1日までを描いた映画だったから、夏よりも観るのにふさわしいタイミングだったかもしれない。
「息を殺して」、観たいのはこういう映画でした、という映画だった。横浜の船から落ちてたパン屑を拾って辿り着いたみたい。考えてみれば物心ついてから、好きな映画にはそうやって1本1本出会ってきたのだ。今でもこうやって好きな映画を見つけられた自分に少し、安心した。
1月にも上映があります。映画の感想は追って。