夕方から渋谷で岩井俊二の新作を観る予定だったのが、昼寝しながら→何時に起きて支度すれば間に合うのだっけ→調べる気力が枯渇→また眠る、を繰り返していたところ、約束していた友達から体調が優れないと連絡が来る。私も昼寝から起き上がれない…と返事し、お互い今日は静養日と決定した。のろのろ起き上がって苺を食べ、借りていた「キングスマン」を観る。想像より遥かに子供っぽかったけど、ひたすらアイロンがけしながら観るのにちょうど良い塩梅の映画だった。
返却日が近づいているのに手をつけていない濱口竜介監督の本を開いてみる。映画「ハッピーアワー」のテキスト集成。「はじめに」の文章だけで引き込まれ、購入するか一旦返却してまた予約するかしなければ、と思う。あと数日あるから、脚本以外のパートは読めるかな。
「大学を卒業後、商業映画の助監督になって、学生時代に多くの時間を費やした映画や音楽の経験が、撮影現場の実務においては一切、役に立たないことに気づかずにはいられなかった。時に尻を蹴られつつ「映画や音楽は自分を助けてくれない」という事実に絶望的な気分にもなった。自分が大事だと思い、何なら人生の時間を捧げたものが、自分を一切助けてくれないことは、心の底から苦しい体験でもあった。
それから時間を重ね、今はどちらかと言えば全く逆のことを確信している。映画や音楽は人が生きることを助ける。最良のそれらは常に、人が真摯に生きたことの証拠であるからだ。記録機械であるカメラ(やマイク)はその事実を確かに記録して、何度でも再生する。疑いようのない証を見て、聞いたことが、受け取った者の基底において生きることを励ます。確信を持ってそう言えるのは、それが僕自身において起きたことだからだ。」