電話をとったら、落ち着いて聞きなさい。の後に唐突な訃報を知らされる。うまく反応できないまま、目の端にニコニコしながら電話が終わるのを待ってる人が目に入り、受話器を置いて立ち上がり、こちらもニコニコと仕事の話と四方山話を終え、約束したメールをすぐ書いて送ったところで、聞いたばかりの訃報を思い出した。何もなかったかのように流れていく日常の驚くべき強度よ。私の人生の時間は続いている。終わっていない。
ふっと映画の場面が降りてくるのが思考の癖で、ずいぶん前に一度観たきりの「幻の光」が降りてきたのは残された人々の喪の時間の物語だったからだろうか。