CINEMA STUDIO28

2016-10-31

プラスワントーク2016



ハロウィン。去年、映画祭に向かうためただ歩いてるだけなのに狂騒に遭遇し「天井桟敷の人々」のラストシーンのバティストみたいな気分(細かすぎて伝わらない比喩シリーズ)になったので、昨日、日曜だし、さぞかし…と、メトロが六本木に滑り込む前から心を整えていたのだけど、拍子抜けするほど静かだった。何があったの。ハロウィンに異変が。


ホン・サンスの上映会場でお友達に会ったので、次の上映開始までヒルズのカフェで喋ったのだけど、オーダーに並んでいたら、前にいた男性がハロウィン仕様のケーキを注文していた。ギョロッとした目玉が3つ横に並んだケーキ。目玉、何でできてるんだろう…と、ぼんやり眺めていたら、店員さんが男性に「目玉が落ちやすいので、写真を撮る時はセロファンを剥がす前にお願いします」と滑らかにプラスワントークしていて、!!!!!!!SNSも普及して久しい、これが2016年のプラスワントーク!!!!!「ご一緒にポテトはいかがですか?」なんて旧時代のプラスワントークなのだね。新しい日本語に出会った気分で、静かに興奮…。


映画祭、何が楽しいって上映後のQ&A。昨日コンペで観た2本のアフタートークはどれも内容を補完して、新たな発見もあって素晴らしかったな。AがあるということはQが客席からあるということで、時間が重なって行けなかった「鳥類学者」のQ&Aで、ギョッとする質問があった、と耳にしたのだけど、それに対する司会の矢田部プログラミングディレクターの日記の文章が素晴らしかったのでメモしておきたい。彼の選択眼の素晴らしさを信頼しており、Q&Aで司会されることも含め東京国際映画祭を毎年とても楽しみにしている。映画自体も、作る人も、観客も、誰も断罪しない。紹介する側の姿勢として見事だと思う。



http://www.cinemacafe.net/article/2016/10/31/44545.html


「彼の生活圏で彼が接する表現活動が、あまりに怠惰であり、あまりに無味無臭であり、あまりに保守的であるということにほかならない。僕は、それが日本の一般的な状況なのだと思う。」という箇所は、ん?そうかな?と思ったけれど(勢いで手を挙げたけど、咄嗟に言葉を選べなかった、ということもあるかな…と)。


そしてアダム・レオン監督についての「感じのいいアメリカ人は世界一感じがいい」という印象は私が抱いた印象そのものだったので、あの幸せなQ&Aを思い返して、うっとり。ああ、映画祭って、本当に楽しいものですね…!