本日の映画/映画館。と言ってもまったく原一男気分ではないのでパス。ラスト1本の大島渚のみ。夜に出歩きたくないのだけど、短いし、貴重な上映だと思うので。
BBCの依頼を受けて製作した「KYOTO,MY MOTHER'S PLACE」は大島渚自身の故郷である京都の歴史、母の人生、自身の半生についての50分のドキュメンタリー。瀬戸内で機嫌よう暮らしてたのに(父親が早逝して)京都の暗い町家で暮らさなあかんようになって、ほんま嫌やったわ(←そんな喋り方はしていないが…)と言いつつ、語り口が私の知るところのTHE京都の男!典型!だったので笑ってしまう。ロメール映画のセリフを借りると「愛の言葉にも出典を求めそう」な!もっとスコセッシの「イタリアンアメリカン」みたいな感じかと思っていたのだけど、ずいぶん印象が違ったのはイタリアンアメリカンと京都人の気質の違いだろうか…。
隣近所に目を配り家を守る京都の女として、結婚してからは私用で外出することもなく、自身を家に捧げた母親、そして生粋の京都人ではなく、どこか外の土地から小さい時に京都に移ってきた母親が、いかにも京都の女という振舞いを徹底して亡くなっていったこと。について触れながら、当時においては高等教育を受け、自由な生き方を求めていたかもしれない母親は、その人生についてどう考えていたのだろう…などとナレーションしながらも、大島渚自身もいずれ東京に母親を呼び寄せ、女に家を守ることを求めた京都の男のような振舞いを母親に見せる…という流れに業の深さを感じる。それを「京都という街が、(母にそのような生き方を)強制した」と語ったことも。
愛憎相半ばありつつも、長く暮らした街は身体の一部になってその人についてまわるのね。ということを、必要に迫られてちょうど考えんとしている時期だったのでタイムリーに見られて良かった。
シネマヴェーラ、次回特集がアステア祭…!