CINEMA STUDIO28

2015-09-10

浅草東洋館とその周辺

 
 
上映イベントが終わり、4階から階段で下りる。来る時はエレベーターに乗ったのだけど、1階と4階のボタンしかないエレベーターだった。ホールを出たところに飾ってあった、井上ひさしとビートたけしの写真。東洋館の前身・フランス座時代、井上ひさしは座付き作家だった時期があり、ビートたけしはフランス座のエレベーターボーイから始まり、師匠に出会って芸人人生が始まった、という縁の場所。…ということが、写真の下に貼ってある紙に書いてあるのだけど、ビートたけしのほう、あれこれフランス座との関わりが書いてあり、やっぱり縁が深いとこれぐらいすらすら書けるよね、と思って読んでいると最後に「Wikipediaより引用」って書いてあって、…引用なんかい!と心で盛大にツッコミを入れ…
 

 
 
階段を下り始めると踊り場の喫煙所の壁に「HANA-BI 北野武ギャラリー」があった。本物じゃなくてレプリカだと思うのだけど、同じサイズの透明ビニールかけて、べたっと両面テープで壁にとめる的な野趣溢れる展示。ところどころ絵が破れてたりして…
 
 
 
 
これなんて、絵の前に思いっきり道具だか看板だか置いてあるし…
 
 
 
 
花火を見上げる絵の下に「頭上注意」って、ネタよね…?パイプ椅子に貼ってある「ツアー席」っていう紙も気になる…。パリのカルティエ財団で個展するような人になっても、案外、本人は東洋館のこの雑なギャラリーのほうが嬉しいかもしれないね…などと思った。
 
 
 
 
見過ごしそうな位置にしれっと貼ってあった話題の!東洋館も確かにTだね…
 
 
 
外に出ると、「浅草フランス座出身者」のコーナー。錚々たる芸人に混じって永井荷風の写真が。永井荷風はストリップの常連だったらしいけど、出身者と大きな括りでまとめられていた。
 
 
 
演芸場、どの街で見ても、外観に痺れる。
 
 
 
そういえば開場前に時間があったので、近くの、その名も「待合室」という喫茶店に入ったのだけど、アンティーク風照明、南国風植物、ヨーロッパ風絵画が一斉に目に入って時空が歪む。絵の下にあるサイン、左のは綾小路きみまろのだった。興味津々で調べてみるとこの店、夜になるとレイアウトが少し変わってカラオケも歌えるのだとか。それもピアノ演奏もしてくれる音楽の集いの場らしい。 昼間はそんな様子は微塵もみせず、ウェイターと呼ぶのが似合わない雰囲気のおじさんが、テレビをぼんやり見ながら果物の切れっ端をもぐもぐつまんでいたりして、ああ、目に映るすべてが北野映画に出てきそう。果物もぐもぐしてたら後ろから「サボってねぇで仕事しろバカヤロウ」ってハタかれて、そのうちヤクザの抗争のどさくさで店もろとも銃弾で吹っ飛びそうな店だわ…という、妄想が広がって止まらない「待合室」だった。
 
 
生粋の関西人なので、目に映るものになんでやねん、なにがやねん、とツッコミ入れつつキョロキョロするのが楽しい街にいると、ふつふつ血が熱くなってくるのを実感するけど、浅草は、ふつふつする街だなぁ。