小津安二郎記念・蓼科高原映画祭。1本目、活弁つき上映「淑女と髯」が終了し、退出しながら振り返ったところ。さすがに年齢層は高めだったわ。
ロビーはこぢんまりしていて、茅野市の映画ファンの方が1970年代から収集していた近隣の映画館のチラシや週報を、映画祭期間にあわせて展示されていた。
私も90年代の京都の映画館でもらったチラシを今でも持っていたりするのだけど、なんとなく大事で捨てられなくて持っていただけのものが、今となっては貴重な資料になったりするのだな。そして古い映画の上映資料を観ると、何十年も語り継がれて観られ続ける映画って一握りのヒット作や名作だけで、その時上映されただけで消えていく映画の多いことよ。
「シネマレイク」「富士館」、自然豊かな場所だからか、自然豊かなネーミング。
外に出る。映画祭のメイン会場は茅野市民館だけど、同時に複数の会場で上映されていて、新星劇場でも映画や、映画音楽のコンサートもあるもよう。
そして入り口にあったテントにずらりとカラフルなお菓子が並んでいたので、?と思って近寄ってみると…ボランティアの皆様によるおもてなし!ポップコーン、コーヒー、お茶、寒天のデザート。駅の看板で寒天が名物と知って、へぇ。と思っていたので嬉しい。甘みが控えめで、果汁の味がして美味しかったなぁ。遠くから映画めがけてやってきたので、地元の祭の仲間に入れてもらったようであたたかな気分に。
新星劇場、やはり常設映画館としては閉館になったようで、現在はこういったイベントで使用されているらしい。
東京だと映画館が閉館すると、あっという間に取り壊して別の建物が建つのは地代ゆえだろうけど、地方だと取り壊す必要もなくて廃墟のようになっていく元映画館は多いのだろうか。茅野市は映画人ゆかりの土地ということもあって、設備は残して利用することができるのだな。映画館の行く末もいろいろ。そして、何も知らずに行った地方の映画館で、消失する映画館という今年の私のテーマのようなものに出会うとは思ってなかった。これもタイミング、ということか。
線路沿いに建っているので、上映中も電車が通るたびにガタンゴトン音がうっすら響き、その度に新橋文化劇場を思い出した。