CINEMA STUDIO28

2015-11-08

Drive in theater

 
 
POPEYE6月号は映画特集で、楽しみにしていたから発売日の朝、開店したばかりの渋谷のブックファーストで買った記憶がある。何故そんな早くに渋谷にいたかというと、ルビッチ特集真っ只中で、連日盛況だったあの特集で確実に席を確保すべく、シネマヴェーラのチケットカウンターが開く前から並んだからだった。
 
 
 
ファッションページも映画をテーマにしたスタイリングで、にやにやしながら隅々まで読みながら、これは!私のために作られたモノである。私はこれを買わなければならない。8月中旬発売予定と書いてあるから、連載を書き終えた記念に買おうではないか!と即断したけれど、夏に楽しく遊びすぎ、連載の最終回を書き終わったのは10月半ば。その間、「いいじゃん、買っちまえよ、まだ書き終わってないけど」と囁く黒マリコを「欲しがりません、書くまでは!」と白マリコが制止。あれ、まだ残ってるかなぁ…と、そわそわしながら有楽町の高架下へ。
 
 
インターナショナルアーケードは、有楽町から新橋までの高架下を繋ぐアーケードで、東京オリンピックの際、外貨獲得のため外国人向けの土産物を売る一画としてつくられた、ということは知っていたのだけど、初めて足を踏み入れた。
 
詳しくはここに
 
 
 
 
新橋まで続いてるのだから、奥は深いはずだけど、用があるのは一番手前の店だった。お店をちらちら覗き込みつつ、明らかに自分がこのテイストではないことを理解しているので、ちょっと入りにくいな…と、行ける範囲で奥まで探検した後に、意を決して入店。
 
 
狭さもうまく使った店内。梯子を使って2階もあるのかな?
 
 
 
ローマの休日のVHSや、cine-kodakの古い看板。
 
 
お目当てのものは店内にはなかったので、店員さんに声をかける。限定生産だったのでこの店では売り切れ、新宿伊勢丹のほうにはあるかもしれない。とのことで、すぐに伊勢丹のショップに電話をかけてくださった。そして、あ!と言いながら梯子を登り…。あった!店頭にサンプルとして出していたものなので、パッケージがないのですが…と。状態は綺麗だし、どうやらもう手に入りにくそうなので、いただきます!とめでたく購入。ぐずぐず書かなかったせいで間一髪だったけど、映画の神様は今日も私に微笑んだ…!
 
 
 
購入したのはシルクのスカーフ。ドライヴインシアター柄の!POPEYEのコメントを引用すると、
 
 
『<ポータークラシック>の定番のシルクスカーフ、今季のモチーフがドライヴインシアターだ。車社会のアメリカには、かつて乗車したまま映画を観られる場所があちこちにあった。「仕事をさぼってでも観に行く」ほど映画好きな吉田玲雄さんがイメージしたのは、そんな月夜のドライブインシアター。「黒いスカーフにしようと考えたときに思い出したのが、いつかメンフィスで通りかかった夜のドライヴインシアターでした」。スカーフの中の作品は克さんと議論。「ジョーズ」や「時計じかけのオレンジ」などを試した中、1936年の「Swing time」がぴったりだった。これは欲しい。』
 
 
これは欲しい!Porter classicがインターナショナルアーケードにあることは知っていて、行ってみたいな、と思ってたけど、普段の自分のテイストから、永遠に買い物することはなさそう…と思っていた。モノトーンのシルクのスカーフ、私の好きな系統だし、何より柄!それ自体が絶滅寸前ということに加え、車に縁のない私にとっての永遠の憧れ・ドライヴインシアター。スクリーンに映るのは大好きなアステアの「Swing time(有頂天時代)」!ちゃんとドライヴインシアターの看板、夜空に浮かぶ月、そして四辺はフィルムリールとフィルムが描かれていて…素敵!
 
 
実物もしっかり素敵だったので大興奮し、スカーフ(大判)と、ポケットチーフサイズの小ぶりなものも両方購入してしまった。選べなくて…。
 
 
 
お会計し、ほくほくしながら外に出ると、大きな映写機が。わ!写真撮ってもいいですか?と店員さんに断ったら、この映写機について説明してくださった。PORTER(吉田カバン)の創設者のお孫さん・吉田玲雄さんはアメリカで映画を学び、ある時ハワイのホノカアという小さな街で過ごした。その時の経験が「ホノカアボーイ」という映画になり、舞台になった映画館で使われていた映写機がこれ。大きな映写機ですね、重そう…と私が言うと、1トンらしいです、と。よく運びましたね…!そしてもう一度店内に戻ってあれこれ撮影させていただいた。
 
詳細はここに
 
 
映画アイテムとしては現在あるものはこのスカーフだけだけど、玲雄さんもお父さんの克幸さんもとにかく映画好きで、例えば店内のBGMに映画音楽や、ジャージーボーイズお馴染みの「フォー・シーズンズ」を流したりするなど、PORTERと映画は密接な関係にあるとのこと。
 
 
そして、このインターナショナルアーケードのお店、インターナショナルアーケード自体が耐震工事を行うため、11月に閉店になり、12月にすぐ近くの銀座ファイヴの2階に移るのだそう。耐震工事を施したインターナショナルアーケードが生まれ変わるのか、それとも壊されてしまうのかは聞かなかったし、詳しいことは調べても出てこないのだけど、今の雰囲気そのままが保存されることなんて、きっと望めないのだろうな。
 
 
消失した映画館について書き終わった私が、記念に買い物したお店も消失して、最後に書いた高架下の映画館のある新橋と、高架下の店のある有楽町はアーケードで繋がってる。どちらも耐震工事のために姿を消した/消す。映画のようによく出来た切ない話だけど、現実なのだった。