北京、大观楼影城。ロビーで時間潰しつつ、そろそろ映画が始まる時間!
贵宾厅!
この映画館について調べてた時、どうやらとても凝った上映ホールがあるらしいことを知り、
どう調べても、4つあるうちどれなのかわからなかったので、
タブレットに写真を保存しておいて、チケットカウンターで
ここで観たいんだけど…って聞いてみたら、スタッフの女性が「四厅!」と教えてくれたのだった。
四厅 = 贵宾厅!(VIP HALLとでも呼ぶのだろうか)
チケットは45元。1元21円ぐらいだったから950円ぐらいかな。
3Dだからこの料金で、2Dであれば40元だったけど、この映画館は比較的安いらしく
友達に45元だった、と言うと、みんなに安い!って言われた。
3Dだと60元ぐらいが相場らしい。
スクリーンの上下、大观楼 中国电影诞生地 の文字。
天井は古い中国映画のポスターモチーフの照明。
壁はこんなの。
外国人は私だけだと思うのだけど、スマホで撮ってる人が多いところを見ると、
中国各地から映画好きが来てるのかな。
3Dメガネは入り口で貸してくれて、観終わったら返却。
ポスターを撮り忘れたので、これは別の場所で撮影したものだけど、観た映画は陈凯歌(チェン・カイコー)監督の「道士下山」という映画。中国でも7月3日に封切られたばかりの新作!主演は王宝强という俳優で、中国の友人によると、最近有名になってきた俳優とのこと。コメディ演技も功夫の動きも上手く、人と猿の中間のような存在感…。物語は山の上で一番になった道士に、師匠が山を降りてそこで出会う良いことも悪いことも経験せよ…と言い、身一つで山を降りる。街でお世話になった医者の若く美しき妻が林志玲(リン・チーリン)、物語はやがて武術の跡取り争いへと展開し、武術の名手に郭富城(アーロン・クォック)、その友に张震(チャン・チェン)。一人ずつ現れては消えていくのだけど、美しいスターがリレーのように登場して眼福、最後まで飽きない。武術の撮り方も「グランド・マスター」のような撮影に凝りすぎて全身の動きがわからないよ!という消化不良感もなく、カンフーアクション大作としての魅力もたっぷり。
現代劇なら大丈夫かもしれないけど、時代もの、武術の物語で、台詞に成語がたっぷり使われており、物語がわからなかったらどうしよう…と少し思っていたのだけど、中国語字幕と英語字幕がばっちりついていたので、筋を見失うこともなく最後までしっかり堪能。
はぁぁ、大満足。陈凯歌の新作を北京で観られたことも、キャスティングが豪華で面白かったことも、こんな場所で観られたことも…大満足!映画好きとしての経験値がひとつ上がった気分…。しかしお国柄というのは面白いもので、物語の最後、確かに決闘に決着はついたのだけど、物語を終わらせるために成語連発のいい感じのモノローグを語ってるのに、スタッフ女性がずかずか入ってきて電気つけたくてうずうずしてたり、エンドロールが流れ始めた途端、パシッと照明がついて観客も一斉に退出したり。ちょっと待って!人民のみなさん!今、陈凯歌がいい感じのこと言って終わろうとしてるから静かに聞きましょ!と私は心で思いつつ、カルチャーギャップが面白かった…。物語の中では男女の情、師弟の情とか、情を語るのに、映画の余韻に浸りつつ最後まで観るようなカタルシスは要らん、というあたり、とても中国っぽいのではなかろうか。
贵宾厅、座席はソファー。朱赤に金で「福」とか「万事如意」とか書いてあって
ここに座ったからには、私も万事如意に違いない!
全部で21席しかない小さな上映ホール。
情人座とでも呼べばいいのだろうか。カップルシートがほとんど。
1人用も3つ、あるにはある。
名残惜しくロビーをぶらぶら。
ロビーに置いてあるこの銅像は…
1905年、中国最初の映画「定軍山」の上映前、中国映画の父と映写技師が
一緒に映写機をチェックしている様子…とのこと。
また機会があるなら、他の上映ホールでも観てみたい。
写真で見る限り、木の椅子に、テーブルが前にあるような上映ホールもあるようで…
ギネス認定証。
1905年から2005年、100年連続で上映し続けたのはギネス最長記録だそう。
大观楼影城、堪能した。去りがたい。