小津安二郎記念・蓼科高原映画祭。期間中、無料公開されている無藝荘。一室は博物館のようになっていた。たくさんの写真、本。写真は初めて観るものも多かった。
野田高梧さんの「三時のバスで誰かにくると思いしも誰も来ず 依って山道を散策」という「蓼科日記」からの一節、さっきバスに乗ってここに着いたばかりだから、その感覚は肌身で想像できた。男性2人で山に篭って脚本を書いて煮詰まると、誰かが遊びに来てくれるの楽しみだっただろうなぁ。
靴を脱いで上がって、この部屋に入ると、先客、華やかな装いのご婦人がいらして、一瞬、目が合い、あれ…どこかでお見かけしたような…と思っていたのだけど、あれは…司葉子さんでしたね。前日のトークショーで拝見していたのに、ぼんやりして頭のピントが合わなかった。司葉子さんが小津監督の資料をご覧になっているところを同室でお見かけする、という貴重な時間だった…。あわわ。
奥にある水場エリア。お風呂だと思われる。
これは手洗い場。
台所は別にあるようなので、顔を洗ったり歯を磨いたりの場所かな。
左側が広めの部屋…20畳はあっただろうか…なのだけど、先客が数人いたので写真は自粛。囲炉裏もあり、少し肌寒かったので火のそばで暖まった。映画を観ていないので推測だけど、同席していたのは「ソロモンの偽証」の監督と女優さんだったと思う。そう広くない場所にいろんな人が集っていて、あわわ、という気分になったので、さっと室内を見学して、外へ。
玄関から外。茅ヶ崎館の二番の部屋でも思ったのだけど、無藝荘もあまり広くはない。小津監督ほどの人であればもっと広い場所を探すこともできただろうし、男2人が始終、顔をつきあわせて過ごすには狭いのではないかしら…と思うのだけど、小津監督は、あの狭さこそ心地良かったのかな。そして二番の部屋も無藝荘も、室内は広くないけれど、窓が大きくとられていて、外の様子がよくわかる。篭って物を書く人ならではの好みの空間というのはきっとある。
そして小津好みの空間…広くなさ。や、窓の広さ。は私好みでもあるなぁ。と、茅ヶ崎館、無藝荘と巡ってみて思った。