小津安二郎記念・蓼科高原映画祭。「秋日和」、丸の内のオフィスビルで働く司葉子と岡田茉莉子の仲良しっぷり。席も隣同士。仲間が結婚し、披露宴には呼ばれなかった。東京駅を出発する「湘南電車」の時刻だけ知らされ、窓から花束を振るから。と約束したから仕事を抜け出し屋上に駆けていき、電車に向かって手を振る、この場面。
お日柄がいいから、きっと新婚さんでいっぱいよ。この湘南電車、東京駅から小田原、熱海、沼津までを走る電車とのことで、お日柄がいいから、新婚さんでいっぱい。とは、結婚式・披露宴が終わったらその足で東京駅から新婚旅行に行く人々が多かった時代なのだな。熱海に行くのだろうか…?
湘南電車の手前に映るのは、中央郵便局の赤い車が停まる場所。東京東側の住人として、近場の繁華街としてこの界隈はよく行くので景色の変化も面白い。あまり変わってないようにも思うなぁ。
花束を振ると約束した友達は、振らなかったようで、がっかりする2人。披露宴だって呼んでくれてもいいはずだったのにね、と言い合う。そして岡田茉莉子のセリフが素晴らしい。「あたしたちの友情が、結婚までのつなぎだったとしたら、さみしいじゃない。つまんないよ」このセリフは最後の場面を観た後に思い出すと、この百合ちゃんというキャラクターが時々垣間見せる切なさがじわじわ染み出してくる。
湘南電車に手を振る、とても好きな場面。画面半分がビル、半分が青空。アドバルーンが2つ空に上がっていた。