CINEMA STUDIO28

2015-01-13

Alphaville


 
 
イメージフォーラムで。ヌーヴェルヴァーグSF映画対決 トリュフォー×ゴダールという特集でゴダール「アルファヴィル」を観る。「華氏451」は、秋、トリュフォー特集でスクリーンで観たばかりなのでパス。「アルファヴィル」は、ずいぶん前に京都みなみ会館で観た後、2006年頃?アテネ・フランセ文センターで2度目を観て、ようやく物語の筋を理解した。3度目の今回は懐しい再会の気分。
 
 
近未来の架空の都市アルファヴィル(alphaville =alpha + ville)を裏で支配する教授、都市のすべてを管理し統治する巨大コンピューターα60、謎を追ってやってきた探偵レミ―・コーション、探偵が出会うアンナ・カリーナ扮する教授の娘。人間的な感情の全てを統治されるアルファヴィルでは「意識」や「愛」といった単語が辞書にない、人々はその存在も意味も知らない。
 
 
という筋書きはすでに頭に入っていたので、何も考えずに観た。映画好きの青年が集まる高校の映画部・・・「桐島、部活やめるってよ」の映画部のような・・が、友達をキャスティングして、父親のトレンチコートや母親のワンピースを衣装に借りて、身の周りにある景色で精一杯近未来っぽいロケ地を選んで、モノクロで生活感を消して…一生懸命、知恵を絞って作ったような可愛らしいSFだな、と思う。褒めてる。「華氏451」も好きだけど、この2本だと「アルファヴィル」のほうが私は好き。
 
 
 
 
アンナ・カリーナが一番美しく映ってる映画じゃないだろうか。膝丈のワンピースにレースの襟とカフス、コートの裾に白いファー、あらゆる映画の中で、ファッションが好きな映画Best3に入る。何年か前に「あ!アルファヴィルのアンナ・カリーナみたい!」って買ったCarvenのコート、さすがに狙いすぎな気がして着て観に行くのはやめた…。
 
 
アンナ・カリーナだけではなく、前半登場する「第3級誘惑婦」のシャツドレスもいい。レミー・コーションと女が廊下を歩く場面、シャツドレスの着こなしと歩き方だけで女が娼婦とわかる。シンプルなシャツドレスの、胸元も裾もボタンが深めに開いている。この職業だからこの洋服はこう着こなしました。という順番の着こなしを見るのが好き。10代の頃、京都で観た時、ぼんやりして物語の筋書きはわからなかったけど、あのシャツドレスの着こなしは強烈に記憶に残った。


アンナ・カリーナに話は戻り、B級ぽさ漂うSF世界にいるアンドロイドみたいな役がますます演技の拙さを強調していて、学芸会みたい。だけど煌めいている。ゴダールだけが輝かせることができる女優。愛ゆえに。というところなのだろうけど、「アルファヴィル」の撮影当時、2人の関係は冷めていて、最後のあのセリフは、もう一度アンナにカメラ(=ゴダール)に向かって愛の言葉を言わせるためだった…といったエピソードを遠い昔、何かで読んだ記憶があるのだけど、真偽やいかに。それって、映画を使ったソフトな暴力…と思ったのだけど。


パリの街を架空都市に見立てて作った一生懸命さが可愛いSF。当然ロケ地も気になる…と思ってたら、こんなサイト発見。素晴らしい…!
 
 
 
 
そして東京だと、大江戸線飯田橋駅に行くたびに、ここでもアルファヴィルは撮れる!と思う。モノトーンの洋服着たアンナ・カリーナが今にも歩いて来そう。