CINEMA STUDIO28

2015-01-17

Pierrot le fou

 
 
年が明けて、エルメスの新しいシーズンが始まった。2015年の年間テーマは「フラヌール ー いつでも、そぞろ歩き。」、月替りの映画プログラム、1月はゴダール「気狂いピエロ」。毎月楽しみにしてるエルメスの映画プログラム、こんなに楽しませてもらってるのだもの、今年はエルメスで何か買おうかな。と、ウィンドウを覗き込むと、コートや靴や小物より、白いぴょこぴょこ動く生物みたいなアートばかり気になって、商品が目に入らない…。
 

 

 
 
何度も観てる映画なので、上映の機会があってもだいたいパスするのだけど、久しぶりに観ようと思ったのは、もらえるリーフレットの、エルメスの上映プログラム監修アレクサンドル・ティケニス氏の文章を読みたかったから。年間テーマと「気狂いピエロ」の紐付けや、そもそも氏がこの有名な映画をどう文章化するのか。新橋文化劇場無き今、東京の映画館でプログラムを一番楽しみにしてるのはメゾンエルメス。何年か前の「スポーツは素敵!」特集の短篇映画プログラムで古いフランスの短いニュース映像のような短篇をピックアップしたあたりから気になって。それは、かつて、家事は重労働だったけれど現代は家電製品の発達により女性の運動量は減少している。だからみんな今まで以上に運動しましょう。という啓蒙の短篇で、後半は美容体操映像だった。「スポーツは素敵!」のテーマで、これを選ぶセンス!アレクサンドル・ティケニス氏のこれまでの映画人生・今の映画生活に興味津々。何を食べたらそう育つの。
 
 
「気狂いピエロ」についての文章は、この映画に登場する2つの「彷徨」の解説と、この映画がゴダール第1期の掉尾をかざる作品であり、ベルモンドの最後の身振りは「現代美術のパフォーマンスと同じように政治的な意味をにない、ゴダールの来るべき作品を予告するものである。」との内容。
 
 
何年ぶりかの「気狂いピエロ」は、無邪気で幼い映画に見えた。深読みはいくらでもできるけれど、難解さに表情を硬くしながら観るような映画ではない。言葉より身体の動きのほうが目につき、動きを追うとずいぶん無邪気。浜辺でアンナ・カリーナが再登場するシーンはミュージカル仕立てで、ロシュフォールの恋人たちのように、画面の隅に移る役者まで踊っているのがまったく馬鹿馬鹿しい…。そしてティケニス氏の文章を読んだせいかもしれないけれど、ゴダールの中で或る季節が音を立てて終わったことを形にするための映画だったのかな。アンナ・カリーナを殺し、自分の分身としてのベルモンドを爆破し、自分で荒々しく幕を下ろす。それなりに生きていると自分にもそのような出来事は何度かあって、どのように幕を下ろすかは人それぞれで、映画監督は映画で幕を下ろし、次の章へ向かったのだな。と、その作法、見せていただきました。という気分で外に出た。

 

 

 

 

そのあたりは、こういう本をちゃんと読むとゴダールが何かを語ってるのかしら。ゴダール、カリーナ時代。仏語だから、では読みましょうか。とは、すぐ思えないのだけれど。山田宏一さんの「ゴダール、我がアンナ・カリーナ時代」も読んでないけれど、山田宏一さんによる映画評のようだから、この翻訳というわけではないらしい。

 

「アルファヴィル」を観たのも、たしか今週だった。1週間に2本もゴダールを観るなんて、10代みたい…。新作はもちろん3Dで観るつもり。

 

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メゾンエルメス、今後の上映をメモ

2月:ベルナール・ケイザンヌ「眠る男」

3月:アニエス・ヴァルダ「ジャック・ドゥミの思春期」

4月:アラン・ゴミ「アンダルシア」

 

最近のメゾンエルメスは争奪戦で、あっという間に予約が埋まる。

http://www.maisonhermes.jp/ginza/movie/