CINEMA STUDIO28

2015-01-08

Holiday Inn

 
 
 
映画初めは不本意ながらDVDでピーター・チャン「ラヴソング」を観た。懐かしい映画。そして映画館初めはシネマヴェーラ「映画史上の名作」特集、2本立て!まずは「スイング・ホテル」から。1942年、マーク・サンドリッチ監督、パラマウント映画。ビング・クロスビーが歌いまくり、フレッド・アステアが踊りまくる贅沢なミュージカル。原題は「Holiday Inn」。
 
 
 
ポスターも、歌うクロスビー、軽やかに踊るアステア!
タイトルが星条旗カラーになってるのも理由があるの。
 
 
クロスビーとアステアはコンビで活躍するエンターテナーながら、365日年中無休、世間の人々が休んでる時期に一番働かなければならないショービズ界に愛想を尽かしたクロスビーが、農夫になって悠々自適の生活を送るのだ。と決意して1年間そう過ごすも、まったく適性がないことが判明しショービズ界に戻ってくる。でも、できれば休みたい。という性質は変えられず、アメリカの祝日だけオープンする「Holiday Inn」というエンタテインメント施設を企画し、オープンにこぎつける。うまく軌道に乗れば、祝日以外、1年のほとんどは遊んで暮らせるではないか、と。そんな物語に2人の女が絡んでいく。2人とも芸達者だしモテそうなのに、同じ女ばかり取り合うのね…。女の好みが一致しすぎて恋愛は、いちいち揉め事に発展。
 
 
「Holiday Inn」はアメリカの祝日にだけオープンするから、演目も祝日にちなんだもの。大晦日には来たる新年を祝い、ヴァレンタインには恋の歌を。リンカーン生誕記念日の、あの黒塗りのメイクは大丈夫なのだろうか…。そして2月は祝日が多いから、登場人物たちの恋も進展しやすい。映画のためにたくさんオリジナル曲が書き下ろされ、特に「ホワイト・クリスマス」はこの映画が生んだロングランヒットらしい。
 
 
パラマウント・ミュージカルなのだから、筋書きなどシンプルできっと何事も丸くおさまるのだろうし。と、最初から決めつけ、ひたすら歌とダンスを楽しんだ。アステアのステップ!
 
 
大晦日、酔拳ばりに酔って踊るダンス、実際にアステアはウィスキーをショットで何杯も飲んで本番に挑んだのだとか。そして極めつけは独立記念日の爆竹ダンス!男女ペアで踊る予定だったのが、女性が到着しないから1人で間を持たせろ、と指示されたアステアは、舞台裏にあった爆竹をポケットにつっこみ、くわえ煙草で舞台に出て行く。踊りながら煙草で爆竹に火をつけ、舞台の床に叩きつけて爆発させながら煙の中を駆けるアステアのステップ…!
 
 
 
 
ダンスもさることながら、アステアはいつも着こなし抜群。シャツもパンツも踊ることを前提にジャストサイズより少し余裕があるサイズ感で(もしくは、40年代のシルエットはそうなのか…?)、奇抜なものは何も身につけておらず、踊る人生、板の上の人生だから、洋服はこうなりました。という順番のファッション。エレガンスとはこのことか、と見惚れる。
 
 
こんな1本で始まる今年は、おみくじで大吉をひくより幸先良い感じ!