久しぶりのギンレイホール。外観、内装、the名画座!という雰囲気で好き。年間パスポートは何年も更新し続けており、ギンレイみたいな年間パスの仕組み、他にも増えないかなーと願ってるけど、増えない。
ジョン・タトゥーロ監督「ジゴロ・イン・ニューヨーク」(原題:Fading Gigolo)を観る。
ウディ・アレンが俳優として出演。ウディ・アレンがかかりつけの医者(レズビアンで彼女がいる)から、男を紹介してほしい、お金なら払うから。と言われ、彼ならいいのでは?と花屋でバイトする男(ジョン・タトゥーロが主演も兼ねる)を紹介。あたかもそれが最初から商売だったかのように、2人はポン引き&ジゴロ(というか男娼)としてコンビを組み、意外なほど利益を得ていくのだが・・。という物語。
女性のキャスティングも豪華で、最初に依頼するリッチな医者にシャロン・ストーン、敬虔なユダヤ教の未亡人にヴァネッサ・パラディ。
後でインタビューやレビューを読んでみると、ジョン・タトゥーロ演じるジゴロは、男前ではないが・・など書かれてるのが多かったけど、美醜の問題は主観として、彼が相手にするのはお金や仕事を持ってる地位の高い遊び慣れた女性ばかりで、依頼されて家に着き、交わす会話が知的でウィットに富んでおり、美しいだけじゃつまんないわよねぇ・・と言いそうな、大人の女性の相手としてぴったりではなかろうか。距離を詰める時も、相手の出方を観察しながら謙虚に次の手を打ってる感じ。商売繁盛は納得。ポン引きとしてのウディ・アレンの取り分は、多すぎでは?と思ったけど。
それからヴァネッサ・パラディ!
何年も動くヴァネッサ・パラディを観ていなかったのだけど、小悪魔然としたところを封印し、既婚女性は、夫の前以外では肌も露出せず、素の髪も見せてはいけないからウィッグを着用するというユダヤ教の厳しい戒律に従った生活を送る物静かな女性を演じていて、あれ?こんな魅力的な人なのだっけ?と驚いた。「枯れてなお魅力が増すヴァネッサ・パラディ」なんて想像したこともなかったから意外な発見。ショートボブのウィッグが似合い、フレンチアクセントの残る舌足らずな英語も良かった。
この映画について、私の興味は、ウディ・アレン映画で観るウディ・アレンはいつもウディ・アレンで(当たり前なのだけど)、純粋に俳優として他の監督の映画に出演するのを観るのが初めてだったので、どう違うのか?ということ。ウディ・アレン映画の俳優って、本人が出ていないときでも、ウディ・アレンが憑依してる!って言いたくなる人・・・例えば「タロットカード殺人事件」のスカーレット・ヨハンソンなんて、そのまんまウディ・アレンで、あの映画はウディ・アレンも出演してるから2人の掛け合いは、鏡を前にした一人漫才みたいだった。しかしこの映画のウディ・アレンは、初めて観るウディ・アレンで、どちらが素なのかわからなくなる。どちらも素ではないのかもしれないけど。ウディ・アレン映画のウディ・アレンが、とってもウディ・アレンなのは、脚本、演出、編集・・・等々の総合結果なのだな。
ニューヨークを舞台に、ユダヤ教が絡み、賢くて強い女性と、おろおろする男性が出てくる映画は、筋書きだけ知るといかにもウディ・アレン映画なのだけど、実際見てみると、しっかりジョン・タトゥーロ映画なのだった。
それにしても今日の日記、何回ウディ・アレンって書いたかしら。(日本野鳥の会スタイルでカウント・・・)