グラインドハウス気分を思い出す必要に駆られ、いま読んでる本。まだ100分の1も読んでないけど最高!そしてこの表紙、目立ちすぎて電車で読めない。カバーかけるのも野暮な気がして。
グラインドハウスについて、私は今まで何も知らなかったのだな。目から鱗の連続。グラインドハウスとは、60年代後半から80年代にかけてアメリカの都市部の場末に存在した、B級C級映画を2〜3本立てで延々と上映する映画館のこと。
・いちばん有名なのは70年代、NYの42丁目。スコセッシ「タクシードライバー」でデ・ニーロがポルノを観るあの映画館。
・グラインドハウスといえば、まずポルノ。グラインドとは、女性が腰を振る、ストリップの動き。(ここで膝を10回打った私。そうか!)
・60年代初め、有名なストリッパーを呼べない地方の小さな劇場が、ストリップ・ショーを記録しただけの映画をかけていた…のがグラインドハウスの前提。
・同じ頃、アメリカはドライブインシアター全盛期で、B級ホラーや怪獣映画はドライブインシアターでっかっていた。しかし、ドライブインシアターでポルノはかけられない。そこでグラインドハウスの出番。そもそも大都市にはドライブインシアターはない。
・NYの42丁目に代表される古い映画館は、大都市のダウンタウンにはだいたいあり、それらは20年代から40年代にハリウッドの映画会社が建てた直営映画館。40年代終わりに独占禁止法で映画会社から劇場経営が切り離され、さらに都市部から白人中産階級が郊外の住宅地に一斉に引っ越し、都市の中心部がスラム化した。ダウンタウンの映画館も寂れて廃墟化、そこにインディペンデント系の安いフィルムだけを流すグラインドハウスが生まれた。当時のインディペンデントとはアート映画ではなくB級映画で、ハリウッドメジャー映画は郊外のシネコンでかかっていた。
おお・・・見開き2ページ読むだけでなんと学べる本なのだろう・・。私のニッチな興味がこんなに満たされることは稀なこと。
そしてタランティーノのインタビューも掲載されており、2本立て&間に架空の映画の予告篇のセットで1本の映画として仕立てられた「グラインドハウスUSAバージョン」こそ本来、上映したいスタイルだったけど、アメリカ以外の国ではそもそも2本立て文化のある国が少なく、日本でもUSAバージョンは1週間ほどの期間限定公開で、それ以降は1本ずつのバラ売り上映になった。しかしこの映画、USAバージョンで観ないと魅力半減なのだ。それについて、日本には2本立て3本立て文化があって、タランティーノの好きな深作欣二だって初公開時は2本立てで女番長映画と抱き合わせだったんだぞ!日本の映画観客をフランス人なんかと一緒にしないでほしい!とインタビュアーが抗議すると、
「それは日本でみんなに言われたね。フランス人と一緒にしてしまってごめんな」
って謝るタランティーノ最高!これを読んでようやく思い出したけど、確かにフランスで2本立て観たことなかった。その文化がないのだろうか。映画発祥の国として、映画は1本ずつ観てこそ映画だ。みたいな背景なのかしら。
内容にいちいち反応してしまい、 読み進まないけど堪能してる。合間にはさまれるゾンビ映画の写真、寝る前に読むと夢に出そう。