CINEMA STUDIO28

2015-05-29

Andalucia





4月に観た映画。メゾンエルメスの月間プログラム「アンダルシア」。アラン・ゴミ監督。2007年の映画。



http://www.maisonhermes.jp/ginza/movie/archives/8029/



フランス人で移民の子でもある主人公・ヤシーヌのパリ内外でのそぞろ歩きを追う、詩のような映画。狭い、トレーラーハウスのような、コンテナのような場所に暮らしながら、その暮らしはその瞬間のもので、会ったばかりの女と夜を共にしたり、あてどなく街を歩いたり、広告写真の女に惹かれたり、その女に出会ったり、移動距離、過ぎた景色、人と出会って別れること、あらゆることを会ったそばから過去のものにしながら、青年は方向も決めず進んでいた。もらったブックレットによると、フランス系セネガル人が脚本と監督を務め、フランス系アルジェリア人が主役を演じる「二重の文化のもとに生まれた作品」とのこと。


歩みの先にアンダルシアに足を踏み入れたヤシーヌは、自分の顔が聖人(?)そっくりであると知る。街ですれ違う人々が一様に、あまりに似ていることに驚いてざわめくほどに。自分の中の2つの相反、矛盾について歩きながら考えたり忘れたりしていた彼が、パズルの最後のピースをアンダルシアで見つけたかのように、空に向けて歩き出すラストが爽快。



エルメスの今年のテーマ「フラヌール いつでも、そぞろ歩き」にぴったりの映画で、2月に観た「眠る男」も、この「アンダルシア」も、街をうろつく青年を追いながら、物語には落としどころが必要、ということなのか、彼らが最後には何かしらかに到達する姿が描かれて終わったこと、について考える。そぞろ歩きにも内面の思索にも、必ず終わりがある、人生でそのような季節があったとしても、必ず終わりがあって次の季節が始まる、ということを。



5月の「イージー・ライダー」は予約していたけれど仕事都合でキャンセル。今年のプログラムを制覇するつもりだったので残念。読むことを楽しみにしているブックレット、余剰があるようであれば6月に行った時に手に入れたい。6月のプログラムは「都会のアリス」とのこと。