CINEMA STUDIO28

2015-08-09

Ozu trip / 茅ヶ崎館 宿の裏の海

 
 
茅ヶ崎館。朝食の前にみんなで海に行ってみることにして、宿の方に裏手に案内していただく。階段を降りて、3分も歩けば海。
 
 
 
 
この時期の湘南の朝の海は、早朝サーフィンをする人々でいっぱい…のイメージがあったのだけど、犬を散歩させている人が少しいるだけで、人気もなく静か。
 
 
波に乗るほどの波でもない、ということなのだろうか。ハーシーズのキスチョコのような小さな島めいたものが見えるな、と思ったら、それがサザンオールスターズの歌でおなじみの烏帽子岩だという事実は、後で知った。この海岸は「サザンビーチちがさき」と呼ばれているらしい。茅ヶ崎駅、発着の音楽は「希望の轍」だった。
 
 
 
 
しかし私にとっては小津映画の海。監督が逗留していた馴染みの場所だから、ということもあってか、小津映画に何度かこの海岸と海が登場している。よく覚えているのは「麦秋」。結婚を決めた原節子が、兄嫁の三宅邦子と一緒に眺めに来る海。映画の頃は静かだったのに、今はこんなに騒がしくなって…という気分になるのかな?と想像していたけど、今も静かな海で良かった。前日、到着後は一歩も外に出なかったけど、日が沈む景色など見に来れば良かったのかな…。次の機会に、そうしてみよう。
 
 
 
住宅地を抜けて、宿に上がっていく階段。
 
 
 
庭を抜ける。細い小道が裏口まで続いていて、足を洗うための水道の蛇口があり、足を拭くためのタオルなども置かれていた。さすが…。
 
 
 
夏は何も咲いていないけど、季節ごとにいろいろな花が咲くのだとか。秋から逗留を始めた監督は春までここにいて、庭のツツジとエニシダの咲く頃に茅ヶ崎館を離れる、毎年その繰り返しだったそう。
 
 
これぞ日本の旅館の朝食!という、白飯に合うものばかりの素晴らしい朝食をいただき、名残惜しくチェックアウト。去り際に宿の方に教えていただいたことには、夏場は混むけれど、それ以外の季節は週末を外せばさほど混まないとのこと。季節を変えてまた来たいし、今度は二番の部屋にも泊まってみたい。真冬に数日、ここに籠るなんていうのも、とても素敵なのではないかしら。