CINEMA STUDIO28

2015-03-02

現実ではない

 
 
昨夜、必要に迫られて映画についてあれこれリサーチしていたら、ジャック・ドゥミの言葉を見つけた。出典がわからないので、ドゥミの言葉かどうかも怪しいかもしれないけど。そしてほとんどジャン・ルノワールの言葉なのだけど。メモ。
 
 
「18か19歳の時ある発見をしました。というのはジャン・ルノワールに直接インタビューしたんですが、彼は映画は現実ではないと言ったんです。現実を見たいのなら、シャンゼリゼ大通りのビルのテラスかカフェの方が映画館の席より良いと言うんです。現実は人を見たり、話しているのを聞いていれば見つかります。でも映画を作るならそれとは違う別のことをしなければならないんです。」
 
 
確かに、ドゥミの映画は現実ではない。現実であんな色の全身タイツみたいなの着てる人、踊りながら歩いてないし。この言葉に反応したのは理由があって、日本文学全集の、東大でのイベントで「自然主義的私小説」についての登壇者のディスカッションがあり、日本文学全集の編集者は池澤夏樹さんなので、どの作家を選ぶかは池澤さんの好みで、結果として自然主義的私小説は選から外れた。というお話を聞いたばかりだったから。
 
 
 
 
池澤さん曰く、「(自然主義的私小説の)湿り気が嫌なのです。文学はもっとつくりものだと思う。それは趣向を凝らしたものであり、文体の創作であり、驚き」そしてご自身がそういったものを書かない理由は「僕の人生は僕自身のものであって、皆さんにお見せするものではありません」と、きっぱりおっしゃっていたのが印象的で、ずっと頭の隅で転がしている。私の好みもそれに近いのかな…と。
 
こちらのBlogに素晴らしい記録あり。
 
 
川上未映子さんは「たけくらべ朗読」について振り返り。たけくらべ、美登利の変化についての諸説は、私も川上さんの考えを支持。身体の変化ではなくて、何かしら他の方法で、他人からすると些細なことかもしれない理由で、もうそれまでの自分と違っちゃったのだろう。そういうことって、大人になっても時々ある。