CINEMA STUDIO28

2015-03-14

ポスターでみる映画史 part2 ミュージカル映画の世界

 
 
観たい映画は山々あるけど、今日はフィルムセンターへ。
 
 
 
 
「ポスターでみる映画史 part2 ミュージカル映画の世界」はアメリカのミュージカル映画の本国版ポスターが50点以上展示されており、コレクターでもある和田誠さんが貴重な私物をたくさん提供されたとのこと。15時から和田さんが会場に登場、歴史の古い順…展示の最初は「コンチネンタル」から、最後は「オール・ザット・ジャズ」まで、ほぼ省略なしでほとんどの映画のポスターを解説していただきながら一緒に眺める、という贅沢な時間。並ぶポスター群、確かにそれだけでミュージカル映画史のお勉強になる錚々たるタイトルばかりだったから、かいつまんで話すなんて難しい注文というもので、45分の予定が75分に延長され、たっぷりお話を伺うことができた。
 
 
和田誠さんは1936年生まれ、50年代、60年代の映画はまさに青春時代の楽しみだったのだろうな。戦後、ラジオから流れたドリス・デイの歌声に魅了されたとのことで、ドリス・デイの出てる映画ポスターコレクションが豊富。「会ったことはないんだけどね。会うときっと、好きになっちゃうだろうな!」とのこと。「私を野球につれてって」の歌を鼻歌で歌いながら「ま、僕が歌わなくてもいいんだけど」とおっしゃったり「雨に唄えば」を口ずさみながら「これは歌だけじゃすまないね!タップダンスも踊りたくなるからやめないとね!」とおっしゃる和田さんに、学芸員の方が「踊っていただいてもかまいませんが…」と合いの手を入れられたので大笑い。
 
 
主に映画そのものの解説をされ、日本未公開のものも多く、和田さんもご覧になったことのない映画もあるのだとか。ポスターそのものについての解説は、始めるともっと時間がかかっちゃう!ということでなかったけれど、大満足。和田さんのウキウキとした語り口が、ラジオの前でお気に入りの映画音楽が流れてくるのを今か今かと待ち構えて映画館にかかるのを待ちわびた少年のままのようで、華やかなミュージカル映画のポスターの色彩や跳ねるようなフォントとぴったり合っていて、素敵な時間だったなぁ…。うっとり。
 
 
 
 
入場時にいただいたリーフレット、1本ずつ映画について解説も載っており、ミュージカル映画の貴重な資料にもなっている。デザインも美しい。観たくて観ていないアステアの出てる「絹の靴下」、ルビッチ「ニノチカ」のミュージカル版リメイクだとは知らなかった…!和田さんの解説で教えていただいて知った。作曲家についての解説もふんだんにあったから、コール・ポーターの伝記映画「夜も昼も」も観たいし、最近?製作された奥さんの視点(コール・ポーターが同性愛者と知りながらの結婚だったとのこと)から描いた伝記映画も観てみたい。観たい映画がドサッと増えて嬉しいながらも困る展示だったな…。
 
 
 
 
和田誠さんご自身の本はたくさん読んだし、挿絵を描かれた本もたくさん読んだはずだけど、図書館派だから手元にないな…と本棚を探ったら1冊あった。去年トリュフォー特集で「思春期」を観た後、絶版になっていた監督本人による原作本を古本で手に入れたのだった。表紙のこの絵は、映画館のシーンだったかな。大切に読もう。

 

 

展示は東京では3月29日まで、その後、京都に巡回するもよう。

http://www.momat.go.jp/FC/musical/