CINEMA STUDIO28

2015-03-27

Great last films?





小津スタディ。しばらく前、BFIのサイトに「10 great last films」という記事があり、小津「秋刀魚の味」が冒頭にとりあげられていた。



http://www.bfi.org.uk/news-opinion/news-bfi/lists/10-great-last-films



「秋刀魚の味」、最後の最後の変調の一言、亡くなる前に至った境地なのかな、と推測したけど、その前の年に撮られた「小早川家の秋」のほうがギョッとしたのは、直接的だけども、葬儀のシーンがあったからかな。喪服で歩く人々。彼岸から撮ったみたいなショット。


「10 great last films」にはエドワード・ヤン「ヤンヤン 夏の思い出」も入ってて、あれも葬儀の場面で終わったので、再見すると、わかっていてもギョッとする。こういうBest10ものは、未見の映画は観たいと思うし、選んだ人の主観が反映されていて、自分とは違う視点であっても楽しい。


私が好きなlast filmsはトリュフォー「日曜日が待ち遠しい!」。トリュフォーは作品もさることながら、彼の人生が好きで、誰か1人、映画監督を選んでその人の人生を生きさせてあげる。と言われたら、トリュフォーがいい。幼少期は辛そうだけど。


「日曜日が待ち遠しい!」は、生涯最後の恋人の美しい脚をこれでもかと見せつけ、サスペンスのはずが途中から破綻していき、破綻のしかたはいかにもトリュフォー的破綻と呼ぶべきぐだぐだ感があり、トリュフォーは愛する女性を撮る時、どんな物語でも途中から愛の物語にすりかわってしまう癖があるように思えて、そこがいい。追い詰められた犯人は、女が好きだ!愛に生きるのだ!と叫び(意訳)、最後は幼稚園児ぐらいの幼子の膝下・・・脚のショット。もうそれが、この中で俺好みの脚に育つ子はいるかなー?って脚フェチ青田買いショットにしか見えなくて、どどんと「今お届けしたのは~日曜日が待ち遠しいでした!」ちゃんちゃん!みたいな文字が出て終わる。なんて自分勝手な映画。あっぱれな遺作!


それからロメールの遺作「我が至上の愛 アストレとセラドン」も、トリュフォーの次点にくる好きな遺作。これは最近、再見したので、そのうち書く予定。