1本の映画のために、どれほど遠くまで移動するかは人それぞれ線引きの異なることとして、約20年ぶりにスクリーンにかかる「牯嶺街少年殺人事件」を観るためだけに、金沢へ。というのは、待ち焦がれ度合、映画そのものの強度を勘案するに、近いね!と思う。これまでだって、数年前、パリのシネマテークでかかると聞けば、その日は少し悔しくてそわそわしていたのだもの。
9月、カナザワ映画祭でかかるそうです。早くスケジュールを知りたい。
http://eiganokai.blog.fc2.com/blog-entry-613.html
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長らく上映されない背景には理由があるらしいことは、理解していたのだけど。今回何がどうクリアになっての実現なのだろう。
長い映画なので前後篇と分割して上映され、ブログにある「僕だけが君のこと、助けてあげられる」のセリフは前篇の最後の場面だったと記憶している。次に少女が言葉を発するのだけど、遠くに吹奏楽の練習音が聴こえるこの場面で、音が一斉に止む瞬間があって、精緻な計算のもともたらされたであろう一瞬の静寂に、鳥肌が立った。
あの少女は、古今東西のあらゆる映画の中でも遭遇するのは極めて難しい、「ファムファタール」と呼ぶのに相応しい振る舞いをしていたように思うけど、あまりに記憶が遠く、再見しない限り定かではない。