CINEMA STUDIO28

2016-07-26

Desire,1936




ディートリッヒ続きで思い出した、



去年のルビッチ特集で観た「真珠の頚飾」(原題 Desire/1936)、監督はフランク・ボーゼージで、製作がルビッチ。ディートリッヒが逃亡する真珠泥棒、ゲイリー・クーパーがウキウキとヴァカンスを過ごしているのに逃亡に巻き込まれる…というドタバタものだったけど、スクリューボールコメディと呼ぶにはスクリュー度合が足りず、テンポも良くなくて冗長な場面がたくさんあった記憶。など、辛めに観てしまうのは、その前にざぶざぶルビッチを浴びてしまったからなのだった。ルビッチならそのセリフ削るね!などルビッチならどうする?と自分に問いかけながら観てしまったし、泥棒ものといえば「極楽特急」を思い出してしまう。ディートリッヒが出てるとはいえ、「極楽特急」以上に極楽な泥棒ものなんてこの世にあるの?!と、どうも分が悪くなる。ルビッチ特集ではなく、別の特集で観ていればもっと楽しめたのだろうなぁ。


しかしトラヴィス・バントンの衣装っぷりは「天使」よりも上だったかもしれない。




それまで折にふれて見かけていたこれぞディートリッヒのイメージ!という衣装の多くは、この映画だったのだなぁと思うほど期待を裏切らない。惜しむらくはディートリッヒを着飾らせるあまり背景から浮いてしまう場面がいくつかあったことで、逃亡劇だから通過するのは都市部だけではなく、え?こんな素朴な場所でもいつものディートリッヒなの?とTPOを外しているような場面があったように記憶。衣装が素朴でもあの眉毛であのスタイルである以上、田舎の景色とディートリッヒは水と油。「ナイアガラ」を観た時、他の女たちはみんなコットンのドレスにサンダルでいるような大自然観光地なのに、モンローがいつもの露出度の高いシルクっぽい光沢素材のドレスにピンヒールだったことを思い出す。あの映画の場合、周囲から浮く役だから、役に似合ってたとは言えるのだけど。