CINEMA STUDIO28

2016-07-24

morning Lubitsch




早朝に目が覚め、また眠る気配がないので起き上がり、家事をひととおり片付けても7時前。そのまま借りていたルビッチ「天使」を観始めた。モーニング・ルビッチ。



90分ほどの短い映画なのに、よくぞこれだけの情報量を、よくぞそれだけ省略して。確か「天国は待ってくれる」はルビッチ唯一のカラー作品だったと思うのだけど、あの映画を観ている間、ブラウスの色!髪の色!瞳の色!椅子の色!とモノクロルビッチの情報量に色の情報がプラスされた膨大な情報量を頭がひとときに処理できなかった。モノクロ映画が好きなのは、自分で好きに色塗りできるからというのも理由のひとつで、「天国は待ってくれる」は、そのドレス素敵だけど、色は好きじゃないな…など、思てたんとちゃう案件の多さにも戸惑った。


「天使」も何度目かわからない鑑賞回数の今回ようやく気づくことも多く、恋患うメルヴィン・ダグラスのベッドの灰皿が吸殻でいっぱいなのはこれまで気づいていたけど、ベッドサイドのランプが点いたまま、という表現にようやく気づく。眠れずに一晩中起きてたのね。ピアノで奏でられる思い出の曲を、置かれたままの受話器越しに聴いたのはハーバート・マーシャルと思い込んでいたし、おそらくそうだと思うのだけど、映画の中では答え合わせされず省略されていることにも気づく。


パリの妖しく高貴な社交サロンは「ロシアサロン」という名前で、夫の付き人たちがロシア人はマナーがどうこう、と裏でひそひそ話す会話と何かしらリンクした設定なのだろうか。そう考えると「ニノチカ」然り、ルビッチのロシア観とは、など考えながら観ていると…頭がぐわんと稼働し、すっかり目が覚めた。






強い照明でつけまつげの影が終始ディートリッヒの目元に落ちる。完璧に塗られた濃色口紅、120%フルメイクで眠る女…ナチュラル感もリアリティも皆無、ひたすらよくできた虚構を朝から堪能。



ルビッチ、しっかりしたファンサイトがあって、時々チェックしてる。youtubeをピックアップしたscreening roomがクラシカルな映画館デザインなのが素敵。「生活の設計」のwall paperを設定してみたら、ミリアム・ホプキンスの顔が怖い。


http://www.lubitsch.com/