築地の美味しそうなトンカツ屋の写真を見て、夏のうちに築地に行かなければと思う。ずいぶん前に詳しい人に連れて行ってもらった時は冬で、2粒をまとめて1粒として揚げているボリュームある牡蠣フライを食べ、華僑ビルという崩れそうに古い近代建築の中にある喫茶店で何かを飲んだ。どちらの店も、もうなくなったはず。東京の街の記憶は儚い。
銀座有楽町日比谷には毎週のように行きながら、その先には縁が薄く、映画の行き帰りもあまりウロウロしないので、新橋文化劇場には通っていたけど、駅前ビルに入ったのは去年が初めてだった。キャラクターの濃い店ばかり並ぶ中、不意にモンローやディートリッヒの写真が貼ってあったりして、店主が熱烈なファン、ということかもしれないけど、中国映画など観ていて、農村に暮らす青年の部屋の壁に酒井法子の写真が貼ってあったりするのを見かけると、とてもとても有名になるということは、遠い国の見知らぬ人々の行き交う壁に写真を貼られることなのだなぁ、それってどういう気分なのだろうか。そこで、いつも応援ありがとうございます♪と笑顔で言える人こそがスターになっていくのだなぁ、などよく分からない妄想をしたことを、新橋でも思い出した。