CINEMA STUDIO28

2016-07-11

電子読書




先日ここにメモした、七夕に発売された西川美和監督のエッセイ「永い言い訳にまつわるXについて」、発売日にダウンロード。ドライアイのせいか電子読書には今も慣れず、紙と電子両方あれば紙を選択しているけど、これは電子でしか発売されないのでやむなし。



http://www.j-n.co.jp/columns/?article_id=362


通勤電車で読み進めていると、「X=合宿」の一篇に、茅ヶ崎館について書かれているのを見つけた。脚本書きの大詰めの数日、師匠である是枝監督、若い演出助手たちと泊まり込んだエピソード。部屋割りは、是枝監督は小津部屋である2番、西川監督はやや小さめの隣の1番…こちらは新藤兼人が泊まった部屋、そして二間続きの広めの3番の部屋…ここは田中絹代が泊まったとのこと…は演出助手が待機しており、今でも手書きで脚本を書く是枝監督が2番で少しずつ書いた脚本は、3番に運ばれ、タイプしてプリントアウトされ監督に戻されるとのこと。


是枝監督も茅ヶ崎館に滞在することは去年、宿で教えてもらった。我々一行は大広間で大名のように大仰に食事をしたけど、監督はお一人の滞在だと思っていたので、食事もお一人なのだろうか…こんな広間で?と思っていたら違い、数人で何泊か合宿し、食事は歩いていけるところに食べに行き、最後の夜だけ、茅ヶ崎館名物のカレーすき焼きを是枝監督がみんなにご馳走してくれるのだそうだ。是枝監督、西川監督はそれぞれ自分の映画の脚本を書き、食事の際に互いの進み具合、つまづいたり直したり、という進捗を聞きあったりする、と。



お!と思ったのは、西川監督の泊まった1番の部屋に私も去年泊まったから。新藤部屋だと思っていたら、西川部屋でもあったなんて。あの部屋から生まれた「永い言い訳」、ますます楽しみに。茅ヶ崎館にまた是非行きたいと思っているのだけど、今年の夏は他に行くところも多い。夏でも浜辺にさして人は多くなく、長閑な海、烏帽子岩という眺めだけど、さらに人の少なそうな秋や冬に季節を変えて再訪してみるのも良いかもしれない。