LA在住のリエさんが、鈴木清順特集に通われているのをinstagram(@riekoh)で興味深く読み、2007年、パリであった特集に通った時のパンフレットを引っ張り出してみた。映画監督の育った環境など調べるのが好きなのだけど、ルビッチがベルリンの仕立て屋の、鈴木清順が日本橋の呉服屋の息子、というのが2大お気に入り。
エッフェル塔の麓にある日本文化会館で開催され、日本で見逃した「オペレッタ狸御殿」を何故かパリで捕まえたことが面白かったり、何度観たかわからない「陽炎座」が異国で観たせいか必要以上に沁みて、熱に浮かされたようにそのまま1時間ほどセーヌ川の脇を歩いて家まで帰ったな。フランスの観客も多く、なんとなく大正浪漫三部作のような耽美な映画、口に合うのでは?と安直な想像をしていたけど、予想以上に途中退席が多くて意外だったな。
関東無宿!
生・清順監督は東京で2度。最初は「ピストルオペラ」封切りの舞台挨拶、シネクイントだったかな。その次はわりと最近、2011年だったか、シネマヴェーラでの特集上映で、宍戸錠さんとのトーク。酸素ボンベをつけた車椅子で登場され、お身体大丈夫かしら…とハラハラしたのだけど、トークが始まってみると江戸っ子っぷり全開。この日は宍戸錠さんの自宅が火事に遭ってニュースになった数日後で登壇自体が危ぶまれるような時期だったと思うのだけど、目の前のジョーさんはツヤッツヤで、監督とひたすらトボけたトークの応酬を繰り広げ、昭和のスターは肝の据わり方が違うわ…と感嘆。写真も撮ったはずだけど探し出せず、しかしあの楽しいトークを書き起こしてくださった方が!と思ったら日活のページだった。感謝!昔話をするために呼ばれたけど、しんみり話すなんてちゃんちゃら嫌だね!という2人のトーンが最高。
もうひとつ、山口小夜子さんとの対談がwebに掲載されているのが読み応えあったけど、探しても消えていた。いつまでも、あると思うなwebページ(教訓)。対談の中にあった清順監督の「愛」なんてものは嫌いだよ、そういうウジウジしたものは。という言葉が好きすぎて、読みたい気分の時、思い出して読んでいたのだけど。
室生犀星「蜜のあはれ」を、鈴木清順監督が映画化するという噂が何年か前に流れ、原作が大好きだからこの上ない組みあわせ!と高揚したのだけど、気がつけば石井岳龍監督でもうすぐ公開される。清順版、観てみたかったな。どうかお元気で長生きされますように…