CINEMA STUDIO28

2016-05-12

モダーン

 
 
小雨降る京都、重森三玲庭園美術館の茶室。こちらは上がることはできず、外からの見学。昭和の建物で、設計も内装も重森三玲によるものだそう。照明も重森三玲によるデザインで八角形。そういえば以前、寺町三条の三嶋亭の二階ですき焼きを食べた時も、テーブル、ロビーの椅子その他さまざまなものが八角形だった。末広がり。
 
 
このモダーンさ、グラフィカルな小津映画、市川崑映画、奇抜な鈴木清順映画のセット、それから大映全盛期の、謎のセンスだけどやたらお金はかかってそうな前衛的なセットに通じるものがあって、つまり私好みだな、と思いながら観た。
 
 
例えば増村保造の「美貌に罪あり(59年)」の最後、どこの国の何からインスピレーションを得たのか、ごった煮すぎてもはやよくわからないセット、照明、勝新太郎と山本富士子の衣装など…
 
 
 
 
…にも、こういったモダーンさが極端なところまで行き着いてしまった、しかし延長線上にあるように思う。和菓子の造形にも時折、過激なモダーンさを感じるものがあり、私の愚鈍な味覚は甘みのグラデーションを感じることにおいて疎く、結局どれも砂糖の味がする…と思いながらも、視覚に刺激されて和菓子には手が伸びてしまう。
 
 
そういえば「美貌に罪あり」は最近Blu-rayが発売されたようで、レンタルもあるのかしら。あの映画について!!!!!!と話せる人が増えてほしいのでいろんな人に勧めたい。川口浩が出てるというのにほとんど記憶に残らず(私としたことが!)、勝新たちがこんなセットで踊ったというのに、観終わってみると杉村春子のことばかり考えてしまう、不可思議な手触りの映画だった。