京都のメモ。ヌーヴェルヴァーグのことをつらつら考えていたら→レディメイド→デュシャン、観たい。と思考が流れ、デュシャン、どこにあるの。と調べてみたら京都の近代美術館がいくつか所蔵しており、所蔵しているからっていつでも観られるわけではないよね。とサイトを観ていたら、ちょうどデュシャンをたくさん展示する企画展がかかっていた。タイミングって合う時はぴたぴたっと気持ちよく合うのだな。
最後にデュシャンを観たのは、ポンピドゥーでのair de Parisという、デュシャンの作品を目玉にした企画展だった。ガラス瓶に製作当時のパリの空気が詰められており(というより瓶の構造上、詰めなくても自然に空気は中に詰まるもので)それが作品、という作品だった。展示室の壁面が一部ガラスになっていて、そこからパリの景色、当時のパリの空気に包まれた景色が観られた。それ以来のデュシャン。air de Parisも、有名な「泉」もあった。いざ現物を前にしてみると、作品に気をとられてヌーヴェルヴァーグからデュシャンを連想した自分については二の次になった。観た感覚を身体に貯蔵しておけば、どこかで手を繋ぐ時があるかも。
「オーダーメイド それぞれの展覧会」という企画展、近代美術館は通常、入ってすぐの大階段を登り、つまり入口はひとつで、そこから順路が設定されるという会場構成になっているものを、もう1つエレベーターからのアプローチを作り、鑑賞者がどこから鑑賞をスタートするかを選択することで順路を選べるようになっている。会場内も複数のキーワードをもとに作品を散りばめ、それぞれのブースが閉じておらず、感覚的に歩き回れる。面白い企画だと思ったけど、もともと私は美術館の設定した順路に従って観る意識が弱く、だいたいの展示は逆走したりとばしたりして好きに歩いて観ているので、「オーダーメイド」の提案、新しい体感だ!という発見はなかった。東京より関西にいる時のほうが美術展に行く機会が多いのは、関西で観るほうが断然空いており、好き勝手歩く自分が許容される環境で観られる、ということだと思う。