五月。カレンダーをめくり忘れているうちに夜になっていた。慌ててめくると、若尾文子映画祭特製カレンダー、五月は「刺青」。一度観たきりだけど、若尾文子と撮影(宮川一夫様)の美しさに拮抗するには、相手役の俳優の役不足を感じたことは覚えている。この間そんな話を人にしていて、自分の中で「刺青」と「春琴抄」が混じって絡み合っていることに気づいた。
谷崎、学生時代に読んだきりではないか。そして現在も一冊も所有していない…と思えば、持っていた。この間、SIMフリー化する手続きの待ち時間に行った無印良品有楽町店(店内の半分以上が書籍)で、実物を見てみたいと思っていたものがあったので購入。文鳥文庫。
文庫サイズの函の中に、短篇を印刷した薄い冊子が8冊。第2弾だけあったので、それを買った。
1冊ずつが薄くて軽いので、小荷物派の私でも小説を外に持ち出せるし、手紙に同封して送るのも良いかもしれない。「刺青」を誰に送っていいのかはわからないけど…。ぱらぱらっと読んでみると、やはりこんな物語だったっけ、と映画の記憶もすでに遠くにあった。10分ほどで読めるコンセプトの文鳥文庫、眠る前に読んでみようか。
谷崎といえば、近所の美術館でのこちらの展示、散歩がてら忘れずに観に行かねば。